「台風26号は関東に来るの?」「10月の台風はどうなるの?」
9月も残り1週間で、そんな声が一気に増えました。月初の台風24号は迷走して大雨だけを残し、シルバーウィークは大型の台風25号が関東を直撃。そして9月23日夜、今度は台風26号「スリゲ」が生まれました。この「読めなさと重さ」こそが、2026年という年の性格なんです。
結論から言います。2026年9月の台風は「本数は平年並み、でも一発が重い」見込みです。日本気象協会の予想では、9月の発生数は4〜7個、日本への接近数は2〜4個。数字だけ見れば普通の9月ですが、エルニーニョ継続で「遠くで生まれて、発達してから近づく」台風が増える。ここに、秋のサーファーにとって一番おいしい情報が隠れています。
この記事では、2026年9月24日時点の最新状況を最初に整理します。台風26号の進路シナリオと、25号が関東の海に残したものです。そのうえで、9月・10月・11月のスウェル傾向を月別に解説します。台風のコース別に湘南・千葉北・千葉南・茨城がどう反応するかも、早見表にまとめました。「今回の台風、自分のホームは当たりか外れか」を天気図だけで判断できるようになる。それがゴールです。
なお、晴れているのに大波が入る「遠方台風のうねり」の基本は、土用波とは?意味・読み方・時期はいつで詳しく解説しています。秋の台風スウェルを読む土台になる知識です。
【9月24日更新】台風26号スリゲの進路と、今週の関東の見立て

まず、いま何が起きているかを押さえておきましょう。この記事を書いている9月24日の朝、日本の南には台風26号「スリゲ」があります。そして関東の海は、シルバーウィークを直撃した台風25号の後始末がまだ終わっていません。
台風25号(ドゥージェン)はシルバーウィーク直撃。大島で48時間830mm超
台風25号は9月16日午後9時にマリアナ諸島で発生しました。強風域の広い大型の台風で、19日夜には「大型で強い」勢力に発達。日本の南を北上し、21日には関東にかなり接近して北東へ抜けました。伊豆諸島・静岡・神奈川・千葉の一部は暴風域に入っています。22日午後9時、日本のはるか東で温帯低気圧に変わっています。
数字が物語っています。伊豆諸島の大島町では48時間降水量が830mmを超える記録的な大雨。東京都江戸川区、千葉市、神奈川県三浦市でも観測史上1位を更新しました。三宅島では最大瞬間風速38.0m/sを観測しています。連休は「波に乗る」どころか「家から出ない」3日間になった人が多かったはずです。
サーファー目線で言うと、これは早見表の②で北上し、最後に⑥へ化けたパターンです。マリアナ諸島という遠い場所で生まれ、暖かい海を長く走って発達した。ここまではエルニーニョ年の教科書どおり。ただし最接近の21日は、関東全域が暴風域寸前で、入れる海ではありませんでした。当たりのコースも、近づきすぎれば外れになる。25号はその見本です。
台風25号のあと、関東の海はいつ入れるか
24日朝の時点でも、千葉県には大雨注意報、千葉・東京・神奈川には土砂災害注意報が残っています。23日には茨城・千葉に氾濫注意報も出ていました。利根川や夷隅川、相模川のような大きな川の河口周辺は、雨が止んで2〜3日は濁りと漂流物が抜けません。830mmという雨量は、いつもの「台風後は48時間待つ」では足りない量です。
もうひとつ、地形です。大型の台風が至近距離を通過したので、砂は大きく動いています。夏に立てた場所が深くなっている。インサイドにサンドバーができてショアブレイクが厚い。そういう変化は普通に起きます。入る前に10分、いつもより長く海を見てください。判断軸は台風後のサーフィン水質判断|いつから入れる?4つの軸と台風後のサーフィンは危険?水質・波・地形の判断基準にまとめています。
台風26号(スリゲ)は9月23日発生。28日には「強い」勢力で沖縄の南へ

9月23日午後9時、フィリピンの東で台風26号「スリゲ」が発生しました。24日3時現在の中心気圧は1002hPa、最大風速20m/s。まだ生まれたてですが、海面水温が30℃近い海域を進むため、ここから発達します。気象庁の予報では、25日にかけてフィリピンの東を西から北西へ進み、26日から28日にかけて沖縄の南を北上。28日には中心気圧970hPa、最大風速35m/sの「強い」勢力に達し、先島地方が暴風域に入る予想です。
問題はその先です。ウェザーニュースのアンサンブル解析では、沖縄の南までは各国モデルの予測がおおむね揃っています。ところがその後は「そのまま大陸へ西進」と「北東へ向きを変えて本州方面へ」に大きく割れている。5日先の予報円の半径は440kmもあります。
早見表で言えば、西進なら③(関東はほぼ無風)、北東転向なら②(全域反応の当たりコース)。どちらに転ぶかで、10月最初の週末の海はまったく別物になります。分かれ目は、27〜28日の予報円がどちらへ傾くか。複数モデルの読み方は台風進路予想の見方|サーファーの予報モデル活用術で解説しています。
今週の関東サーファーがやるべきこと
24日は移動性高気圧に覆われて晴れ、東京は30℃予想。この日が濁りチェックと道具の乾燥日です。25日は湿った空気で関東・東海に雨。26日からは秋雨前線が本州付近に停滞し、関東から九州は30日ごろまで曇りや雨が続く見込みです。28日前後は前線上の低気圧が本州付近を通過し、雨脚が強まる所がありそうです。
つまり今週は「25号の濁りが抜ける前に、前線の雨がまた重なる」週です。海に入れる日は限られます。その分、26号が北東に転向した場合に備えて、第2候補のポイントと仕事の調整だけ済ませておく。2週間予報では10月1日以降、関東は雲が多いながら晴れの日が増える見込み。勝負はそこからです。
26号が本州方面に向かうケースでは、沖縄の南でゆっくり北上するぶん、うねりの周期が伸びます。関東にうねりが届くとしても、早くて10月1日前後になる計算です。そのとき「どこで入るか」は台風スウェルはどこで入る?うねりを外すポイント選びで。10月全体の見通しは2026年10月の波予想|秋台風とうねり・水温の見通しに整理しています。先に読んでおくと動きが速くなります。
2026年の台風は「史上最速ペース」で発生している

ここからは、2026年という年の全体像です。日本気象協会の発表によると、2026年は8月30日までに23個の台風が発生しました。1月から8月までの発生数としては、平成以降(1989年〜)で最多です。9月1日には24号が発生し、1月から9月まで毎月台風が発生した年になりました。これは1951年の統計開始以来、1965年・2015年に続いて3回目という珍しさです。
8月だけで10個。60年ぶりの記録ラッシュ
8月の発生数は10個。平年値の5.7個をほぼ倍する数です。1か月に10個の台風が発生したのは1966年8月以来、60年ぶりのことでした。さらに8月には、1994年以来32年ぶりに4個の台風が同時に存在した時期もあります。天気図に台風マークが4つ並んだのを見た人も多いはずです。
この中で関東の海に直接関係したのが、台風13号と15号です。13号は7月27日にミッドウェー諸島近海で発生。わずか1週間で中心気圧940hPa、最大風速45m/sの「非常に強い台風」に発達しました。15号は8月11日午後8時ごろ、茨城県南部に上陸。茨城県への台風上陸は、気象庁の統計開始以来初めてのことです。
「発生数が多い=波が当たる」ではない
ただし、サーファーにとって「発生数」はそこまで重要な数字ではありません。大事なのは、どこで生まれて、どこを通ったか。台風が24個生まれても、南シナ海に向かって西へ抜けてしまえば、関東の海には何も起きません。逆に、日本のはるか南東で1個生まれて北上コースを取れば、それだけで一週間ものスウェルが続くこともあります。
台風の数はくじの枚数、コースが当たり外れ。そう考えると腑に落ちるはずです。実際に8月は、記録的な発生数のわりに「乗れた日」は限られていました。15号のように関東を直撃するコースは、当日は完全なクローズアウト。翌日以降の地形変化と濁りで、結局は数日間入れないケースが多いのです。
8月の答え合わせ:エルニーニョの教科書どおりだった
もうひとつ、8月には重要な「答え合わせ」がありました。日本気象協会によると、今年の9号・13号・15号はマーシャル諸島近海など、日本から遠く離れた海域で発生しました。そして、そのまま日本へ接近しています。これは次のセクションで説明する、エルニーニョ年の典型パターンそのものです。春の時点で予想されていたシナリオが、8月に現実になった。だからこそ、秋も同じ前提で構えるべきなんです。
9月の答え合わせ:発生3個・接近2個。「回数は普通、一発が重い」がそのまま現実に
9月は24日時点で、24号(1日)・25号(16日)・26号(23日)の3個が発生しました。平年値の5.0個に対して、月末までにあと1〜2個あれば平年並み。日本への接近は24号と25号の2個で、こちらも平年値3.3個の範囲内です。日本気象協会の「発生4〜7個・接近2〜4個」という予想は、いまのところ下限で推移しています。
でも、体感はまったく「平年並み」ではありませんでしたよね。たった1個の25号で、連休が丸ごと消えた。発生数でも接近数でもなく、1個の重さで秋が決まる。この記事で8月から繰り返してきた見立てが、そのまま現実になった9月でした。
エルニーニョ継続が秋のスウェルに与える3つの影響
気象庁によると、2026年は春からエルニーニョ現象が続いているとみられ、この秋も継続する見込みです。夏の波予想の記事でも触れましたが、この状態が秋まで持ち越されることの意味を、あらためて整理しておきましょう。
影響1:台風の発生位置が南東にずれる
エルニーニョ現象が起きている年は、北太平洋西部での台風の発生位置が平年より南東側に偏りやすくなります。つまり、日付変更線に近い、日本からずっと遠い海域で生まれるということです。フィリピン東方で発生するのが平年のパターンだとすれば、それより1,000km以上も東で生まれるイメージです。
7月末にミッドウェー諸島近海で生まれた13号、マーシャル諸島近海で生まれた9号と15号。8月の主役たちは、まさにこの教科書どおりの動きでした。
影響2:長い移動距離が台風を育てる
遠くで生まれると、日本に近づくまでに暖かい海の上を長い距離進むことになります。台風のエネルギー源は海面から供給される水蒸気なので、暖かい海上を長く進めばそれだけ発達します。これが「秋は発達した台風に注意」と各機関が繰り返し警告している理由です。
台風13号がその典型でした。発生からわずか1週間で中心気圧940hPa、最大風速45m/s、最大瞬間風速65m/sまで発達しています。940hPaというのは、上陸すればニュースのトップになるクラスです。
サーファー目線でこれを言い換えると、こうなります。「うねりの周期が伸びて、飛距離が出る」。台風が強いほど、そして海上を長く走るほど、生まれるうねりは長周期化します。長周期のうねりは減衰しにくく、遠くまで届く。だから、進路が日本から離れていても波が反応する可能性が上がるんです。
影響3:接近数そのものは平年並み
ここが誤解しやすいポイントです。日本気象協会の「2年先長期気象予測モデル」による解析では、台風の発生数は9月が平年並み、10月は平年並みか少ない見込み。日本への接近数は9月・10月とも平年並みという予想です(2026年7月30日発表、8月27日更新)。
つまり「秋は台風だらけになる」わけではありません。むしろ回数は例年どおり。ただし、来たときの一発が重い。この非対称性が2026年秋の本質です。だからこそ「1回のチャンスをどう当てるか」が、去年以上に重要になります。
【早見表】台風コース別・関東エリアの波の反応

ここからが本題です。台風の位置と進路を見て、自分のホームポイントが反応するかどうかを判断する。この読み方さえ身につけば、無駄足がぐっと減ります。
関東の主要4エリアは、それぞれ向いている方角と地形が違います。ざっくり言うと、湘南は相模湾の奥にあるため南〜南南西のうねりしか入りません。千葉北と茨城は東〜南東に開いていて、東寄りのうねりに強い。千葉南は南東〜南に面していて、その中間です。
エリア別・反応するうねりの向き
| エリア | ベストなうねり向き | 反応しにくい向き | 必要な目安サイズ |
|---|---|---|---|
| 湘南(鵠沼・辻堂・茅ヶ崎) | 南〜南南西 | 東・北東 | 沖で3m以上ないと反応しにくい |
| 千葉北(飯岡・片貝・九十九里) | 東〜南東 | 南南西 | 沖1.5mでも反応する |
| 千葉南(一宮・部原・鴨川) | 南東〜南 | 北東 | 沖2m前後から |
| 茨城(大洗・鉾田・波崎) | 東〜北東 | 南西 | 沖1.5mでも反応する |
この表の「必要な目安サイズ」がポイントです。湘南は相模湾という袋のいちばん奥。うねりが入ってくる入口が狭いので、沖でかなりのサイズがないと届きません。逆に千葉北や茨城は太平洋に直接面しているので、小さなうねりでも素直に反応します。同じ台風で「千葉は頭サイズ、湘南はまだヒザ」ということが普通に起こるんです。
台風コース別・4エリアの反応早見表
| 台風のコース | 湘南 | 千葉北 | 千葉南 | 茨城 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|---|
| ①小笠原の東〜南鳥島付近で北上 | △ | ◎ | ○ | ◎ | 東うねり。距離があり面がキレイになりやすい |
| ②沖縄の東〜日本の南を北上(2026年25号の前半) | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | 全域反応の当たりコース。ただし直撃寸前は危険 |
| ③沖縄の西〜東シナ海を北上 | × | △ | △ | × | 関東はほぼ無風。西日本の日本海側が反応 |
| ④日本のはるか東海上を北東進 | × | ○ | △ | ◎ | 茨城・千葉北の「隠れ当たり」パターン |
| ⑤紀伊半島〜東海に上陸 | ○ | △ | ○ | × | 南うねりだが荒れやすい。通過後の北風が狙い目 |
| ⑥関東直撃・至近通過(2026年15号・25号) | × | × | × | × | 当日は入らない。翌日以降の地形変化に注目 |
| ⑦沖縄近海で迷走・停滞(2026年24号) | △ | △ | △ | △ | 波より前線の大雨。濁りが抜けるまで待つ |
◎は狙い目、○は反応あり、△は条件次第、×は期待薄。2026年は、⑥が8月の15号と9月の25号、⑦が9月の24号として実際に起きました。25号は②のコースで北上し、最後に⑥へ化けた典型です。いずれも「台風が来た=波が良い」とはならない実例でした。そして26号は、いま③と②の分かれ道に立っています。
エルニーニョ年の2026年秋は、①と④のコースが増える可能性があります。発生位置が南東に偏るので、日本のずっと東側を通るパターンが相対的に多くなるからです。この場合、いちばんおいしいのは茨城と千葉北です。距離があるぶん、風の乱れが取れたクリーンな長周期うねりだけが届きます。サイズがあるのに面がキレイ。台風スウェルの中でも、いちばん気持ちいいコンディションになりやすいパターンです。
「北緯20度・東経140度」を覚えておく
もうひとつ、実用的な目安があります。台風の中心が北緯20度線付近まで北上してきたとき、関東の太平洋岸には本格的なうねりが届き始める、という経験則です。東経でいうと140度前後、つまり小笠原諸島のあたりですね。
そこからだいたい24〜48時間で、うねりが到達します。長周期のうねりは時速40〜60kmくらいで進むので、1,500km離れていれば約30時間。天気図で台風の位置を確認したら、「明日の夕方から反応しそうだな」と当たりをつけられるわけです。
そして、いちばん良い波が来るのは「台風がまだ遠いうち」。最接近時ではありません。ここを間違えると、ただの荒れた海に向かってしまいます。うねりの読み方をもっと詳しく知りたい方は、うねりの向きとは?ポイント選びが変わる読み方ガイドも合わせてどうぞ。
台風のたまごから波が届くまでのタイムライン

「台風が発生した」というニュースから、実際に自分のホームで波に乗るまで。この流れを時間軸で持っておくと、判断がぐっと速くなります。2026年秋に使える目安を、1本のタイムラインにまとめました。
| タイミング | 何が起きるか | サーファーがやること |
|---|---|---|
| D-10〜D-7 | 熱帯低気圧(台風のたまご)が発生 | 発生位置を確認。フィリピン東方かマーシャル近海か |
| D-7〜D-5 | 台風に昇格。予報円が出始める | コースを早見表の①〜⑦に当てはめる |
| D-4〜D-3 | 北緯20度線に接近。周期12秒以上のうねりが発生 | 波予報の「周期」を見る。仕事の予定を調整 |
| D-2〜D-1 | うねりが関東に到達し始める | 第1候補と第2候補のポイントを決める |
| D-1〜D-0 | ピーク。最接近前がベスト | 朝イチに海を10分観察。カレント位置を確認 |
| D+1〜D+3 | 通過・離脱。うねりは残るが風と濁りが出る | 大雨後は24〜48時間待つ。地形の変化に注意 |
「たまご」の段階で発生位置を見る
2026年に覚えておきたいのは、発生位置です。フィリピン東方で生まれた台風は、北上するまでの距離が短く、うねりの周期も伸びきらないことが多い。一方、マーシャル諸島近海やミッドウェー近海で生まれた台風は、日本に近づくころには十分に発達しています。長周期のうねりを先に届けてくるのはこちらです。8月の13号がまさにそれでした。
たまごの段階で「遠い場所で生まれたな」と気づけたら、その時点で1週間後の予定を空けておく価値があります。逆に、南シナ海に向かう西進コースなら、関東のサーファーは静観でOKです。
前線の位置をセットで確認する
2026年9月の教訓は「台風+秋雨前線」の合わせ技です。台風24号のように中心が沖縄近海にあっても、湿った空気が前線を刺激して関東に大雨をもたらしました。台風の予報円だけを見て「うちは大丈夫」と判断するのは危険。前線の位置と雨雲の動きもセットで確認しましょう。波は良くても、河口からの濁流で水質が終わっている、というのが秋のいちばん多い空振りパターンです。25号でも、本体の雨に前線の雨が上乗せされて、大島で830mmという数字になりました。
9月・10月・11月、月別のスウェル傾向
秋といっても3か月あります。月ごとに海のコンディションはガラッと変わるので、それぞれの性格を押さえておきましょう。
| 月 | 台風発生の平年値 | 接近の平年値 | 2026年の予想(日本気象協会) | 関東の水温目安 |
|---|---|---|---|---|
| 9月 | 5.0個 | 3.3個 | 発生4〜7個・接近2〜4個(平年並み) | 上旬25℃前後→下旬23〜24℃ |
| 10月 | 3.4個 | 1.7個 | 発生は平年並みか少ない・接近は平年並み | 中旬22〜23℃ |
| 11月 | 2.2個 | 0.5個 | 台風シーズンはほぼ終了 | 18〜20℃ |
9月:今シーズン最大の山場。ただし前半は雨
9月は台風接近数が平年並みの予想ですが、海水温がまだ高く、台風が発達しやすい月です。関東の海水温は9月上旬でもまだ25℃前後。ウェットはシーガルやスプリングで足りる日が多く、体力的にもいちばん動きやすい時期です。
2026年の9月は、前半が秋雨前線の長雨、後半が台風25号のシルバーウィーク直撃という展開でした。前回は「連休の1週間前に、たまごがあるかどうかが分かれ目」と書きました。まさに16日にマリアナ諸島で生まれた25号が、そのまま連休に重なった格好です。ただし、重なり方が近すぎました。残る9月の1週間は、秋雨前線の雨と、26号の進路次第で決まります。
なお、9月19日から10月4日は愛知・名古屋でアジア競技大会が開かれています。サーフィンは史上初めて正式種目となり、愛知県田原市の太平洋ロングビーチが会場です。26号のうねりが東海に届けば、世界レベルの選手が台風スウェルをどう乗るか、答え合わせができます。日程と観戦のポイントはアジア大会サーフィン2026|日程・会場・代表と観戦ガイドにまとめました。
10月:本数は減るが質は上がる
「2026年10月の台風予想は?」という質問も増えてきました。日本気象協会の予想では、10月の発生数は平年並みか少なく、接近数は平年並みです。平年値は発生3.4個・接近1.7個なので、関東に影響する台風は1個あるかないか、という月になります。
そして2026年の10月は、いきなり26号の動向から始まります。28日に沖縄の南で強い勢力になったあと、北東へ転向すれば10月最初の週に本州方面へ。西進すれば関東は静かなまま。「10月に関東へ影響する台風は1個あるかないか」と書きましたが、その1個の候補がもう目の前にあるわけです。
ただ、本数が減るぶん、1回のチャンスの価値が上がります。10月の台風は偏西風に乗って足が速く、うねりが届いてから海が荒れるまでの時間が短い。「明日の朝イチ」の判断が、9月以上に重要になります。日本気象協会の2週間天気では、10月1日から6日は晴れの日が多いものの、関東は雲が広がりやすくすっきりしない見込みです。
そして10月には別の主役が登場します。北東の季節風と、日本のはるか東を進む低気圧です。台風が来なくても、これらが東〜北東のうねりを届けてくれます。茨城や千葉北にとっては、むしろここからが本番という見方もできますね。水温は10月中旬で22〜23℃程度。日没は10月末には17時前になります。仕事帰りの夕方サーフは、この時期にほぼ終了です。
11月:台風は終わり、冬型のうねりへ
11月になると台風シーズンはほぼ終わります。代わりに、日本の東を発達しながら進む低気圧と、西高東低の冬型気圧配置が波を作り始めます。北〜北東の風とうねりが主体になり、湘南は反応しにくく、千葉北・茨城が優位になる時期です。エルニーニョ年の冬の展望は2026-27冬の波予想|エルニーニョ年の北東うねりと季節風にまとめています。
水温は18〜20℃まで下がります。3mmのジャージフルスーツが必須になる季節。準備の話は秋のウェットスーツ選び方【2026】3mmジャーフルはいつから?にまとめてあります。
秋の台風スウェルが「夏より危険」な理由

楽しい話ばかりでは終われません。秋の台風スウェルには、夏にはない危険があります。それも「発達した台風」が増える2026年は、なおさら意識してほしいところです。
長周期はサイズ表記より確実に重い
波のエネルギーは、周期の2乗に比例して大きくなります。同じ「頭サイズ」でも、周期8秒の風波と周期14秒のグランドスウェルでは、含まれるエネルギーが3倍以上違う計算です。数字で見ると、その差の意味が伝わるでしょうか。
実感としては「ヒザなのに全然押し戻せない」「胸サイズなのに一発でリーシュが切れた」という形で現れます。周期14秒を超えるうねりが入っている日は、いつものサイズ感覚をいったん忘れたほうがいい。入ってから引き返す基準はサーフィンのサイズアップ判断|引き返す基準7項目と戻り方で先に決めておきましょう。この考え方はうねりの周期の見方|秒数でわかる良い波の見極め方で詳しく解説しています。
水温が高いぶん、油断が生まれる
9月の海はまだ暖かい。ウェットも薄い。だから「ちょっとだけ入ってみよう」というハードルが下がります。これが秋の事故が起きやすい理由のひとつです。冬なら寒さが自然のブレーキになりますが、秋にはそれがありません。
さらに、夏休みが終わって海が空いています。人が少ないということは、何かあったときに気づいてくれる人も少ないということ。心地よさの裏側にあるリスクを、頭の片隅に置いておきましょう。
日没が早く、時間感覚がずれる
9月上旬の日没は18時過ぎ、10月下旬には17時前になります。1か月半で1時間以上早まる計算です。夏の感覚のまま「もう1本」を続けていると、気づいたときには沖が真っ暗、ということが起こります。
台風スウェルの日は特にカレントが強く、思ったより沖に流されています。上がるつもりの時間の30分前には、いったん岸を確認する。この習慣だけで、リスクはかなり減らせます。流れの見分け方と、流されたときに岸と平行に抜ける手順は離岸流とは?見分け方・対処法・発生しやすい場所で確認しておいてください。
通過後の地形は別物になっている
大きな台風が通過すると、砂が根こそぎ動きます。いつも立てた場所が急に深くなっていたり、逆に浅くなってショアブレイクがえげつなくなっていたり。8月の15号のあと、ホームの地形が変わったと感じた人は多いはずです。ホームだからと油断せず、入る前に必ず海を見る時間を取ってください。
加えて、大雨のあとは河口からの濁流と漂流物が入ります。2026年は8月中旬の千葉豪雨、9月上旬の前線大雨と、台風以外の大雨も重なりました。「入っていい日」と「見送る日」の線引きは台風サーフィンの見極め方|入っていい日と危険な日で確認しておきましょう。
秋のチャンスを外さないための準備リスト

「本数は平年並み、でも一発が重い」年だからこそ、来たときに動ける状態にしておくことが効いてきます。今週は25号の濁りと前線の雨で海に入りにくい分、次の4つを済ませておきましょう。26号が北東に転向したとき、慌てないためです。
道具のリーシュとフィンを先に見直す
台風スウェルで最初に壊れるのはリーシュコードです。夏のあいだ紫外線を浴び続けたコードは、思っているより劣化しています。付け根のベルクロ部分と、コードの表面に細かいヒビがないか確認してください。1シーズン使ったものは、迷わず交換するのが正解です。太さや長さの選び直しはリーシュコードの選び方|長さ・太さ早見表と交換時期【2026】を参考にしてください。
フィンのネジも同じです。塩噛みして回らなくなっていると、いざパワーのある波用に替えたいときに手が止まります。雨の週末に一度全部外して、締め直しておきましょう。
波予報を「周期」で見る癖をつける
波情報を見るとき、多くの人はまずサイズを見ます。でも台風シーズンは周期を先に見てください。周期12秒以上ならグランドスウェル、14秒を超えたらかなりのパワー、と目安を持っておく。そのうえでサイズを見ると、当日のイメージがまったく変わります。
あわせて、うねりの向き(南東なのか東なのか)と、風向きも確認します。この3つがそろえば、行くべきポイントは自動的に絞られます。サイズの読み方に不安がある人は波のサイズ表記の読み方|腰・胸・頭とftの換算表から始めるといいですよ。
ウェットは9月中旬に切り替わる前提で
関東の水温は9月中旬から下がり始め、10月には23℃前後、11月には20℃を切ります。シーガルからロングスプリング、そして3mmジャージフルへ。この切り替えを先延ばしにすると、寒さで集中力が落ちて判断を誤ります。
特に台風スウェルの日は、パドルの時間が長く、沖で待つ時間も増えます。体が冷えた状態でのパドルアウトは危険です。「まだいける」ではなく「もう替える」で判断しましょう。
どのタイミングで何に替えるかは、秋のウェットスーツ完全ガイド|シーガル・ロンスプ・3mmジャーフルの切り替え時期に月別・エリア別の目安をまとめています。オーダーなら納期3〜6週間。10月中に着たいなら、今週が動くタイムリミットです。買い足すものの全体像は秋冬サーフィン装備チェックリスト|いつ何を買う【2026】で確認できます。
行き先の第2候補を決めておく
台風スウェルの日は、ホームがクローズしていることがよくあります。そこで慌てて探し始めると、時間だけが過ぎていきます。早見表を参考に、「東うねりが強すぎたらここ」「南が入ったらここ」と、あらかじめ2〜3か所リストアップしておきましょう。
エリアごとの特徴は、茨城サーフィンガイド、千葉北サーフィンガイド、千葉南サーフィンガイドにそれぞれまとめています。台風が来る前の平日に読んでおくと、当日の判断が速くなります。
台風の進路とうねりの到達日を自分で追いたい人は、Windy(ウィンディ)の台風の見方|進路・うねり・波の読み方と使い方もあわせてどうぞ。台風アイコンの表示から「うねり2」レイヤーの読み方まで、3ステップでまとめています。
台風のうねりを追うための無料アプリの組み合わせと、5日前→2〜3日前→前日の見方の手順は、波情報 無料アプリおすすめ7選【2026】波予報の見方と使い分けにまとめています。有料サービスに頼らなくても、進路・周期・風は無料で十分に追えます。
よくある質問(FAQ)
Q. 2026年9月、台風は多いですか?
回数は平年並みです。9月24日時点の発生は24号・25号・26号の3個、日本への接近は24号・25号の2個。日本気象協会の予想「発生4〜7個・接近2〜4個」(平年値は発生5.0個・接近3.3個)の範囲で推移しています。ただし2026年は春からエルニーニョ現象が続いています。台風が日本から離れた海域で発生し、十分に発達してから接近する傾向があります。25号がまさにそれで、大型で強い勢力のまま関東に至近接近しました。「回数は普通、一発は重い」が2026年9月の実態です。
Q. 2026年10月の台風予想はどうですか?
日本気象協会の予想では、10月の台風発生数は平年並みか少なく、日本への接近数は平年並みです。10月の平年値は発生3.4個・接近1.7個なので、関東に影響する台風は1個あるかないか、という規模感になります。ただし10月の台風は偏西風に乗って足が速く、勢力を保ったまま接近しやすいのが特徴です。本数が少ないぶん、来たときは「明日の朝イチ」の判断が9月以上に重要になります。台風がなくても、北東の季節風と東の低気圧が茨城・千葉北にうねりを届け始める月です。
Q. 台風26号(スリゲ)は関東に影響しますか?
9月24日時点では、まだ決まっていません。気象庁の予報では、26号は26日から28日にかけて沖縄の南を北上します。28日には中心気圧970hPaの「強い」勢力になる見込みです。その後の進路は、大陸へ西進するシナリオと、北東へ転向して本州方面へ向かうシナリオに割れています。西進なら関東はほぼ無風、北東転向なら10月最初の週に南〜南東のうねりが届く可能性があります。27〜28日の予報円の傾きが分かれ目です。仮に本州方面へ向かう場合でも、秋雨前線が本州付近に停滞しているため、大雨と濁りをセットで想定してください。
Q. 台風25号のあと、関東の海はいつ入れますか?
台風25号は9月22日夜に温帯低気圧に変わりました。ただし大島で830mm超、千葉市や三浦市でも観測史上1位という雨量でした。24日朝の時点でも千葉・東京・神奈川に土砂災害注意報が残っています。大きな川の河口周辺は、いつもの「48時間」では足りず、2〜3日以上は濁りと漂流物が残ると考えてください。さらに26日からは秋雨前線の雨が再び続く見込みです。河口から離れたポイントを優先し、入る前に10分ほど海を観察してカレントとブレイクの位置を確認しましょう。地形は連休前とは別物になっている可能性があります。
Q. 台風のうねりは何日前から届きますか?
台風の中心が北緯20度線付近まで北上してくると、関東の太平洋岸には24〜48時間ほどでうねりが届き始めます。長周期のうねりは時速40〜60km前後で進むため、1,500km離れていればおよそ30時間が目安です。ただし、これはあくまで「反応し始める」タイミング。ピークはそこからさらに半日〜1日後に来ることが多いです。台風の位置と進行速度、そして自分のエリアが反応する向きかどうかをセットで見て判断してください。
Q. 湘南と千葉、どちらが台風スウェルに強いですか?
反応のしやすさで言えば千葉北や茨城が圧倒的に有利です。太平洋に直接面しているため、沖のうねりが1.5m程度でも素直に反応します。一方の湘南は相模湾の奥にあり、南〜南南西のうねりしか入ってこないうえ、沖で3m以上のサイズがないと反応しにくい構造です。ただしこれは裏を返せば、湘南はサイズが上がりすぎにくいということでもあります。台風スウェルが強すぎて千葉がクローズしたとき、湘南がちょうどいいサイズに収まっているケースは珍しくありません。
Q. エルニーニョの年は波が良くなるんですか?
一概に良い悪いとは言えません。エルニーニョ年は台風の発生位置が平年より南東に偏るため、日本まで距離があるぶん、届くうねりは長周期でクリーンになりやすい傾向があります。これはサーファーにとってプラスです。ただし同時に、台風が日本に近づかず東へ抜けてしまう「空振り」も増えます。当たれば質が高く、外れると何も来ない。振れ幅が大きくなるのがエルニーニョ年の特徴だと考えてください。2026年8月の13号・15号は、その「当たり」側の実例でした。
Q. 初心者でも台風スウェルの日に入れますか?
台風のうねりが直接入っている日は避けるのが基本です。長周期のうねりはサイズ表記以上にパワーがあり、カレントも強くなります。パドルで戻れないと感じたら、その時点で危険域です。ただし、うねりが落ち着き始めた「台風スウェルの終わりかけ」は、サイズが下がって形だけが残る絶好のタイミングになることがあります。入るなら足がつく深さで、周りにサーファーがいる時間帯を選んでください。
Q. 台風が直撃したら、いつから海に入れますか?
通過直後は入らないでください。うねりが残っているうえ、大雨で河口から泥水と漂流物が流れ込んでいます。目安としては、雨が止んで24〜48時間経ってから。水の濁りが取れ、流木やゴミが浜に打ち上がりきったタイミングです。また、台風で地形が大きく変わっている可能性があるため、入る前に必ず10分ほど海を観察して、カレントの位置とブレイクの場所を確認しましょう。
まとめ:2026年の秋は「1回を確実に当てる」シーズン
最後に、この記事のポイントを整理しておきます。
- 2026年は9月23日までに26個の台風が発生。平成以降で最多ペースだが、関東で「乗れた台風」は限られていた
- 9月24日時点:台風25号は連休を直撃し22日に温帯低気圧化。台風26号スリゲが23日に発生し、28日に沖縄の南で強い勢力へ。西進か北東転向かで10月序盤の関東が決まる
- 9月の発生は24日時点で3個・接近2個と平年並みの範囲。10月は発生が平年並みか少なく、接近は平年並み。ただし26号がその「1個」になる可能性がある
- 春から続くエルニーニョ現象で、秋は発生位置が南東に偏り、発達した台風が接近しやすい。「回数は普通、一発は重い」
- 台風のコースによって湘南・千葉北・千葉南・茨城の反応はまったく違う。早見表で当たりを絞る
- 北緯20度まで北上したら24〜48時間でうねりが到達。ベストは「台風がまだ遠いうち」。前線の位置もセットで見る
- 長周期はサイズ表記以上に重い。周期14秒超の日は、いつものサイズ感覚を捨てる
秋の海は、人が減って、水はまだ暖かくて、波の質が上がる季節です。夏のあいだ思うように乗れなかった人ほど、ここからが取り返しどきだと思います。秋サーフィンが最高な5つの理由【2026】もあわせて読んでみてください。
台風が発生したら、まずは進路図を開いて、この記事の早見表と照らし合わせる。当たりのコースだったら、仕事の予定を先に調整しておく。それだけで、今年の秋に乗れる本数は確実に変わります。実際に入る日の判断基準は台風サーフィンの見極め方|入っていい日と危険な日で確認を。
そして、夏の予想からの流れを振り返りたい方は2026年夏のサーフィン波予想|エルニーニョと台風スウェルもどうぞ。今年がどういう年だったのか、あらためて見えてくるはずです。
この記事は台風の動きに合わせて随時更新します。いい波が来たら、無理せず、でも遠慮せず。今年の秋も、海で会いましょう。


















