冬サーフィンで体調を崩さない|入る前・水中・翌日の線引き

フードを被ったウェットスーツで冬の海に向かうサーファー|冬サーフィンで体調を崩さないための線引き

「冬の海に入ると風邪をひく」。これ、本当だと思いますか? 海水に浸かること自体で風邪をひくわけではありません。でも、冬サーフィンのあとに喉が痛くなる人、翌日まで体が重い人は確かに多いですよね。

体調を崩す本当の原因は「海に入ったこと」ではなく、「冷えすぎたまま上がったこと」と「上がった後の順番」にあります。寒いのに我慢して入り続け、震えながら着替え、熱いシャワーに直行する。この流れが、低体温・風邪・心臓への負担を一度に招いています。

この記事では、冬サーフィンで体調を崩す4つのトラブルを種類ごとに整理します。そのうえで、入る前の「今日は入らない」線引きと、水中で上がる判断を客観化する4つのテストを示します。さらに、上がった後45分と翌日までの回復手順もまとめました。「なんとなく寒いから上がる」を、「この条件が出たら上がる」に置き換えられるようになります。読み終わる頃には、冬の海を怖がらずに、でも無理せず楽しむ基準が自分の中にできているはずです。

目次

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冬サーフィンで体調を崩す本当の理由|冷えは3回来る

冬の冷たい海へ入っていくサーファーの後ろ姿|冷えは入水中・上がった後・翌日の3回来る
冬の冷えは「水中」「上がった直後」「帰宅後から翌日」の3回に分けて襲ってくる

まず「体調を崩す」という言葉を分解しておきましょう。冬のサーフィンで起きる不調は、大きく分けて低体温、風邪などの感染症、疲労の蓄積、そして心臓や血圧への負担の4つです。原因はどれも「冷え」ですが、冷えが来るタイミングは1回ではありません。入水中、上がった直後、そして帰宅後から翌日にかけての3回です。

1回目:水中|水は空気の約25倍の速さで熱を奪う

水の熱伝導率は空気の約25倍です。同じ10℃でも、空気中で立っているのと水に浸かっているのとでは、体から奪われる熱の量がまったく違います。ウェットスーツはこの熱の流出を「遅らせる」道具であって、「止める」道具ではありません。

5mmのセミドライを着ていても、水温12℃の海に90分浸かれば体の深部温度はじわじわ下がります。しかもサーフィンは波待ちの時間が長い。パドルで熱をつくる時間より、浮いて熱を失う時間のほうが長いんです。この「じわじわ」が厄介で、本人は寒さに慣れたつもりでも、体の中では確実に熱収支がマイナスに傾いています。

2回目:上がった直後|風と気化熱、そしてアフタードロップ

海から上がった瞬間、濡れた体に風が当たります。水が蒸発するときに奪う気化熱は、冬の浜風と組み合わさると水中以上の速さで体温を削ります。風速1mで体感温度が約1℃下がるという目安は、濡れた体ではさらに厳しくなります。詳しくは秋サーフィンの寒さ対策の記事で風と体感温度の関係を解説しています。

さらに見落とされがちなのが「アフタードロップ」です。海から上がって10〜20分後に、体の深部温度がさらに下がる現象を指します。水中で冷やされた手足の血液が、動き出すことで体幹に戻ってくるためです。「車に着いてから急に震えが強くなった」という経験は、まさにこれです。上がった直後は、体感では「もう陸だから大丈夫」でも、体の中ではまだ冷えが進んでいます。

3回目:帰宅後から翌日|免疫と自律神経の揺り戻し

3回目の冷えは、体温ではなく「体の守り」に来ます。強い寒冷ストレスと長時間の運動の後は、一時的に免疫の働きが落ちる時間帯があるといわれています。鼻やのどの粘膜が冷えると、ウイルスへの局所的な防御反応が弱まるという研究報告もあります。

つまり冬サーフィンの風邪は、「海水で風邪をひく」のではなく、「冷えて疲れた体で、ウイルスに触れたときに負ける」構図です。帰りのサービスエリア、翌日の満員電車。そこで拾ったものに対して、体が普段どおり戦えない。この3回目の冷えへの対策が、実は一番手薄になりがちです。

冬の海で起きる4つの体調トラブルの種類

灰色の空の下で冬の波に乗るサーファー|冬の海で起きる4つの体調トラブル
4つのトラブルは起きるタイミングもサインも違う。種類で分けると対処がはっきりする

「冷え」を4つのトラブルに分けて、起きるタイミングとサイン、やるべきことを整理します。同じ寒さでも、入水直後に来るものと、翌日に来るものでは対処が違います。まずは全体像を表で押さえてください。

トラブル起きるタイミング主なサインやること
①コールドショック入水直後の1〜3分息が吸えない・過呼吸・心拍の急上昇顔から順にゆっくり濡らす。落ち着くまで沖に出ない
②低体温症入水30分〜上がった後20分止まらない震え→震えが弱まる・呂律・判断の鈍り震えの質が変わる前に上がる。体幹から温める
③風邪・耳鼻のトラブル帰宅後〜翌々日喉の痛み・鼻づまり・微熱・耳の違和感上がった後の体温回復と睡眠。耳は乾かす
④心臓・血圧への負担入水直後と熱いシャワー直後動悸・めまい・胸の圧迫感急な温度差を避ける。持病があれば医師に相談
冬の海で起きる4つの体調トラブル(Waves編集部まとめ)

①コールドショック|入水直後の1〜3分がいちばん危ない

冷たい水に急に浸かると、体は反射的に息を大きく吸い込み、呼吸が速くなります。心拍数と血圧も一気に上がります。これがコールドショック反応で、水温15℃以下で起きやすくなります。顔を波に突っ込んだ瞬間に「息ができない」と感じたことがあれば、それです。

対処は単純で、入水の最初の数分をゆっくり使うことです。膝まで浸かって、手首と顔を先に濡らし、呼吸が落ち着いてからパドルを始める。これだけで反応はかなり和らぎます。ドルフィンスルーの連続で沖に出るのは、呼吸が整ってからにしましょう。

②低体温症|「震えが止まった」は回復ではなく悪化

低体温症は、体の深部温度が35℃を下回った状態です。軽度のうちは震えが止まらず、手がかじかみます。進むと震えが弱まり、言葉がもつれ、判断が鈍ります。ここで一番怖いのは、震えが弱まったときに「慣れてきた」と誤解することです。震えは体が熱をつくる最後の手段で、それが止まるのは燃料切れのサインです。

進行の段階と自覚症状の詳細はサーフィンの低体温症|震え・眠気が出たら上がる基準にまとめています。この記事では「どの線で上がるか」を次の章で具体的なテストとして扱います。

③風邪・副鼻腔炎・外耳炎|冷えた粘膜と残った水

冬サーフィンの翌日に多いのが、喉の痛み、鼻づまり、耳の違和感です。鼻の奥に入った冷たい海水は粘膜を冷やし、副鼻腔に残ると炎症の原因になります。耳に入った水がそのまま残れば外耳炎になります。冷たい水と風を長年受け続けると、外耳道の骨が盛り上がる「サーファーズイヤー」にもつながります。

対策は、上がった後に鼻を軽くかみ、耳の水を出し、耳栓やフードで冷たい水の侵入を減らすことです。地味ですが、冬の耳栓は「寒さ対策」ではなく「体調対策」として効きます。

④心臓・血圧への負担|急な温度差が引き金になる

冷たい水に入った瞬間と、冷え切った体に熱いシャワーを浴びた瞬間。この2つの場面で、血管が急に縮んだり広がったりして、血圧が大きく動きます。健康な人なら「心臓がドキッとする」程度で済みます。でも高血圧や心臓の持病がある人、それに気づいていない人にとっては、不整脈や失神の引き金になり得ます。

二日酔いの朝や、睡眠不足の朝も同じです。脱水で血液が濃くなり、自律神経が乱れた状態で温度差を受けると、負担は普段より大きくなります。40代以降で健康診断を受けていない人は、冬の入水前に一度受けておくことをおすすめします。50代からのサーフィンの記事でも、壊さない体づくりを扱っています。

入る前に決める「今日は入らない」線引き7項目

冬の暗い砂浜をサーフボードを抱えて歩くサーファー|入る前に決める今日は入らない線引き
入らない判断は浜に着く前に。前日の夜と当日の朝で7項目を確認する

体調を崩す人の多くは、「海に着いてから」判断しています。でも、浜に立ってしまうと波が良ければ入りたくなるのが人情です。だから線引きは、浜に着く前に終わらせておきます。前日の夜と当日の朝で、次の7項目を確認してください。

#確認項目入らない・短くする線
1体温・喉・鼻37℃以上、喉の痛み、鼻水が出ている→入らない
2睡眠5時間未満→入らない。6時間未満→60分以内で切り上げる
3前夜の飲酒残っている自覚がある→入らない。缶ビール2本以上→90分以内
4水分と朝食空腹・水を飲んでいない→入る前に食べて飲む。できなければ短く
5水温×気温×風水温13℃以下+風速5m以上+気温5℃以下のうち2つ→60分以内
6服薬・持病降圧剤・心臓の薬・風邪薬を飲んでいる→医師に相談してから
7前回からの回復前回の翌日に強い倦怠感が残った→今回は時間を半分にする
入水前チェック7項目(Waves編集部の目安。体調に不安があれば医師に相談を)

前日の夜に見る3項目|睡眠・飲酒・翌朝の風

前日の夜に決められるのは、睡眠時間、飲酒量、そして翌朝の予報です。冬の入水で睡眠不足は、夏より効きます。体温を保つのも、震えで熱をつくるのも、体力を使う仕事だからです。6時間を切る日は、入る時間を60分以内に決めてから寝てください。

飲酒は、アルコールが血管を広げて熱を逃がしやすくするうえ、震えの反応を鈍らせます。脱水も重なります。「翌朝に残っていなければ大丈夫」ではなく、缶ビール2本を超えたら翌日は短めに、が現実的な線です。予報は水温と風速を見て、翌朝の持ち時間をあらかじめ決めておきます。風向きの読み方は冬の早朝サーフィンの安全確認の記事が参考になります。

当日の朝に見る4項目|体温・食事・水・持病

朝は体温計を使ってください。平熱より0.5℃以上高ければ、その日は入らない。これが一番シンプルで確実な線です。喉がイガイガする、鼻水が出る、という段階でも同じです。「海で治る」ことはなく、「海で悪化する」だけです。

食事と水分は、入水の1.5〜2時間前におにぎり1〜2個と水300〜500mlが目安です。空腹で入ると震えが早く来て、上がった後の眠気が強くなります。服薬中の人、特に血圧の薬や心臓の薬を飲んでいる人は、冷水に入ること自体を主治医に一度相談してください。風邪薬を飲んで入るのは論外です。眠気と判断力の低下が海の中で出ます。

水温×気温×風で「持ち時間」を決める

冬の入水時間は、気分ではなく条件で決めます。目安として、水温15℃以上なら120分、13〜15℃なら90分、13℃未満なら60分。そこに風速5m以上、または気温5℃以下が加わるごとに、15分ずつ短くします。たとえば水温12℃、気温4℃、風速6mの朝なら、60分から30分を引いて「30分で一度上がる」です。

短いと思うかもしれませんが、一度上がって温め直してから入り直すほうが、トータルで長く楽しめます。この「持ち時間」をスマートウォッチや防水時計で管理する習慣が、冬を無事に越える人の共通点です。ウェットの厚みで持ち時間は変わるので、セミドライの選び方もあわせて確認してください。

水中で「上がる」を客観化する4つのテスト

冷たい海で波待ちするサーファーの背中|水中で上がる判断を客観化する4つの線
「まだいける」は主観。震えの質・手・言葉・時間の4つで上がる線を客観化する

海の中での判断は、主観に任せると必ず遅れます。寒さに慣れたと感じるのは、感覚が鈍っているだけのことが多いからです。だから「上がる」の判断を、自分で確認できるテストに置き換えます。4つのうち2つが当てはまったら、次の波で上がる。これをルールにしてください。

テスト1:震えの質|「止まらない」から「弱くなった」へ変わったか

最初に出るサインは震えです。入水30分を過ぎて、波待ち中に震えが止まらなくなったら、それが軽度の低体温の入り口です。ここではまだ上がる判断の「予告」です。本当の線は、その震えが弱くなったとき、または「さっきより寒くなくなった」と感じたときです。

体はまだ冷えているのに震えが弱まるのは、熱をつくる余力が落ちているからです。この段階では、本人の感覚は「楽になった」に近い。だからこそ、震えが弱まったら迷わず上がる、と先に決めておく必要があります。

テスト2:手の機能|親指と小指をつけられるか・リーシュを外せるか

手は体の中で最初に冷え、最初に機能を失います。波待ち中に、親指の先を小指の先につけてみてください。すんなりつかない、力が入らないと感じたら、それが2つ目の線です。もう1つの確認は、リーシュのマジックテープを片手で外せるかです。

これができないと、上がった後の着替えで確実に苦労します。ジッパーがつかめず、濡れたウェットのまま風に当たる時間が延びて、アフタードロップが深くなります。手の機能は「今の寒さ」ではなく「上がった後の安全」を測るテストです。手足の冷え自体への対策はサーフィンで手足が冷たいときの対策にまとめています。

テスト3:言葉と判断|次のセットを数えられるか

低体温が進むと、震えの次に来るのは判断力の低下です。これを自分で確認する方法は2つあります。1つは、次のセットの本数を数えること。もう1つは、近くのサーファーに「何時ですか」と声をかけて、普通に言葉が出るかを確認することです。

「何本目に乗るか決められない」「同じ波を2回見逃した」「声が出しにくい」。こうした変化が出たら、すでに上がるべき線を越えています。この段階ではテスト1や2も同時に出ていることがほとんどなので、迷わず上がってください。仲間と入っているなら、お互いの呂律とふらつきを見る約束をしておくと、自分では気づけない線をカバーできます。

テスト4:時間|持ち時間を過ぎたら、波が良くても一度上がる

4つ目は、入る前に決めた持ち時間です。これはテストというより「約束」ですが、他の3つが主観に引っ張られるのに対して、時間だけは客観的です。波が良いと、震えもかじかみも「気のせい」にしたくなります。だからこそ時間で区切ります。

持ち時間を過ぎたら、一度上がって温め直す。入り直すかどうかは、浜で10分経ってから決める。この「10分置く」が重要で、冷えた体でそのまま判断すると、ほぼ確実に「もう1本」を選びます。サイズや流れの判断と同じで、入る・やめるの基準は水に入る前に決めておくほど守れます。

上がった後45分|体調を崩さない順番とやってはいけない順

海から上がって砂浜に座るウェットスーツ姿のサーファー|上がった後45分の体調を崩さない順番
上がってからの45分は「風を断つ→濡れを断つ→体幹から温める→糖分」の順番がすべて

海から上がった後の45分で、その日の体調の大半が決まります。順番を間違えると、せっかく早めに上がっても意味がなくなります。ここでは時間軸で「やること」と「やってはいけないこと」を整理します。特に「急に温めてはいけない理由」は、知らない人が多いのでしっかり説明します。

時間やることやってはいけないこと
0〜5分ボードを置く前にポンチョ・ドライローブで風を断つ濡れたウェットのまま駐車場で立ち話
5〜15分ウェットを脱ぎ、体幹→頭→手足の順で拭いて着る手足を強くこする・下半身から着替える
15〜30分車内暖房やホットドリンクで体幹から温める熱いシャワー・熱い風呂に直行する
30〜45分糖分と水分を摂り、震えが収まったか確認するアルコール・運転開始(震えが残っているうち)
海上がり45分のタイムライン(Waves編集部まとめ)

0〜15分:まず風を断つ、次に濡れを断つ

上がって最初にやるのは、着替えではなく「風を断つ」ことです。ボードを置くより先に、ポンチョかドライローブを頭から被る。これだけで気化熱による冷えが半減します。駐車場までの数分を濡れたウェットで歩くか、ポンチョで歩くかの差は、体感以上に大きいです。

着替えは、体幹から拭いて体幹から着ます。首にタオルを巻いて、胸と背中を先に拭き、上半身を着てから下を脱ぐ。手足は最後です。冷えた手足を強くこすると、冷たい血液が一気に体幹へ戻って、かえって深部温度を下げます。優しく拭いて包むだけにしてください。着替えの道具の比較はポンチョ・ドライローブ・バケツの比較記事をどうぞ。

15〜30分:体幹から温める。熱いお湯が危険な理由

ここが一番の分かれ目です。冷え切った体に熱いシャワーや熱いお湯をかけたくなりますが、これはやってはいけません。理由は2つあります。1つは、皮膚の血管が急に広がって、手足に溜まっていた冷たい血液が心臓に戻り、深部温度がさらに下がること。アフタードロップを自分で深くしてしまいます。

もう1つは、血管が広がることで血圧が急に下がり、めまいや失神を起こすこと。冷えで血圧が上がった状態からの急降下なので、心臓への負担も大きくなります。正しい順番は、まず服を着て、車内暖房やホットドリンクで体幹を温める。震えが収まり、手が普通に動くようになってから、35〜40℃のぬるめのお湯を使う。ポリタンクのお湯も「かけるのは手足から、ぬるめで」が原則です。ポリタンクとお湯の使い方と車の暖房の選び方もあわせて参考にしてください。

30〜45分:糖分と水分、そして運転前の確認

体幹が温まってきたら、糖分と水分を入れます。震えで熱をつくるには燃料が要ります。温かい甘い飲み物、おにぎり、バナナあたりが現実的です。アルコールは血管を広げて熱を逃がすので、「体が温まる」感覚とは裏腹に体温を下げます。海上がりの一杯は、家に着いて体温が戻ってからにしてください。

そして運転前に、自分の状態を一度確認します。震えが残っていないか、手が普通にハンドルを握れるか、強い眠気がないか。低体温の後の眠気は、運転中に来ます。少しでも不安があれば、暖房の効いた車内で15分休んでから出発してください。サーフィン後の疲労回復の記事では、この後の栄養と睡眠まで扱っています。

帰宅後から翌日まで|風邪をひかせない回復の手順

セーターの袖で温かいマグカップを包む手|帰宅後から翌日までの回復手順
帰宅後の入浴・食事・睡眠の順番で、翌日の体調は変わる

3回目の冷えは、帰宅後から翌日にかけて来ると最初に書きました。ここで手を抜くと、「海では問題なかったのに月曜に喉が痛い」という形で返ってきます。帰宅後にやることは4つです。入浴のタイミング、食事、耳と鼻のケア、そして睡眠です。

入浴は上がって2時間後、ぬるめで長めに

帰宅してすぐに熱い風呂に飛び込みたい気持ちは分かります。でも、海上がりから2時間以内はまだ体温が完全には戻っていないことがあります。目安は、海から上がって2時間後、38〜40℃のぬるめのお湯に15〜20分です。熱い湯に短く入るより、ぬるい湯に長く入るほうが深部まで温まります。

湯上がりに汗が引かないまま薄着で過ごすのも、冷えを呼びます。風呂を出たら、すぐに乾いた服を着て、首と足首を冷やさないようにしてください。

食事は「温かい・たんぱく質・塩分」の3点

冬サーフィンの後の食事は、量より中身です。温かい汁物で体温を戻し、たんぱく質で冷えと運動で傷んだ筋肉を直し、塩分で失った分を補います。鍋、味噌汁と焼き魚、うどんに卵と鶏肉、といった組み合わせが理想的です。

冷えた体は消化の力も落ちているので、脂っこいものや生ものは翌日に回したほうが無難です。たんぱく質が食事で足りない日は、プロテイン1杯で補うのも手です。冬の消耗と栄養の話はサーフィンのサプリとプロテインの記事にまとめています。

耳と鼻の水を残さない

風呂の前後で、耳に残った水を出しておきます。頭を傾けてトントンと軽く叩くか、ドライヤーの温風を離して当てる程度で十分です。綿棒を奥まで入れるのは、外耳道を傷つけて外耳炎のもとになるので避けてください。

鼻は、ぬるま湯で軽くすすぐ、または市販の鼻うがいを使うと、副鼻腔に残った海水と砂を出せます。冬に鼻の奥が重い感じが続く人は、ここを習慣にするだけで変わることが多いです。

睡眠7時間と、翌日の「休む判断」

免疫を戻す一番の手段は睡眠です。冬サーフィンの日は、普段より30分早く寝るつもりでいてください。目安は7時間以上。寝る前のアルコールは睡眠の質を落とすので、飲むなら量を控えめに。

翌日の朝、起きたときに強い倦怠感、喉の痛み、微熱のどれかがあれば、その日の予定を軽くしてください。連日で入る予定だったなら、2日目は見送るか、半分の時間にします。「翌日に残った」という事実は、次回の持ち時間を短くする根拠にもなります。冬を通して続ける設計は冬もサーフィンを続ける人の型で詳しく書いています。

冬サーフィンでやりがちな5つの誤解

最後に、冬の海で体調を崩す人に共通する思い込みを5つ挙げます。どれも「経験者ほどやりがち」なものです。初心者は寒さに素直に負けて早く上がりますが、慣れた人は我慢の仕方を覚えてしまっています。その我慢が、冬の体調を崩す一番の原因になります。自分に当てはまるものがないか、確認してみてください。

誤解1:「寒さは我慢すれば慣れる」

慣れるのは「寒さの感じ方」であって、体温が奪われる速さは変わりません。むしろ慣れた人ほど、震えが弱まるサインを「慣れた」と誤解します。経験年数が長い人ほど、時間で区切るルールが必要です。編集部でも、10年以上冬に入っているメンバーほど「気づいたら2時間入っていた」が起きています。慣れは感覚を鈍らせる方向にも働く、と覚えておいてください。

誤解2:「厚いウェットを着ていれば大丈夫」

ウェットは熱の流出を遅らせるだけです。5mmのセミドライでも、水温12℃に90分浸かれば深部温度は下がります。装備は「持ち時間を延ばす」もので、「上がらなくていい」理由にはなりません。装備の全体像は冬サーフィンの寒さ対策20選を参照してください。

誤解3:「熱い風呂に入れば一発で回復する」

先に書いたとおり、冷え切った体への急な加温は、アフタードロップと血圧の急降下を招きます。「温まった気がする」のは皮膚だけで、深部はむしろ下がっていることがあります。ぬるめから、体幹から、が原則です。

誤解4:「風邪気味でも海に入れば治る」

治りません。喉や鼻の粘膜がすでに弱っているところに、冷たい海水と風を当てることになります。しかも運動で免疫が一時的に落ちる時間帯が重なります。風邪の初期症状がある日は、入らないのが唯一の正解です。

誤解5:「ホットジェルや貼るカイロで防げる」

ホットジェルは皮膚の血流を増やして「温かく感じさせる」もので、深部温度を上げるものではありません。貼るカイロも、ウェットの中で低温やけどのリスクがあります。これらは補助であって、入水前の体づくりと上がる判断の代わりにはなりません。グッズを増やす前に、持ち時間を決めること、上がった後の順番を守ること。この2つのほうが、冬の体調には何倍も効きます。

よくある質問(FAQ)

冬サーフィンのあとに毎回風邪をひきます。海水が原因ですか?

海水そのものが風邪の原因になるわけではありません。原因は、冷えて疲れた体で免疫が一時的に落ちているところに、ウイルスに触れることです。上がった後の着替えが遅い、熱いシャワーに直行する、帰宅後の睡眠が短い、という流れが重なると起きやすくなります。対策は、上がって5分以内に風を断つこと、体幹から温めること、その夜に7時間寝ることの3つです。それでも毎回ひくなら、入る時間を今の半分にして様子を見てください。

震えが止まらないときは、すぐ上がるべきですか?

止まらない震えは軽度の低体温の入り口で、まだ体が熱をつくれているサインです。この時点で上がるのが理想ですが、少なくとも「次のセットで上がる」と決めてください。本当に危ないのは、その震えが弱まったり、寒さを感じにくくなったりしたときです。そこは回復ではなく悪化です。親指と小指がつかない、言葉が出にくい、のどちらかが重なっていたら、波を待たずに上がってください。

冬は何分までなら入っていて大丈夫ですか?

一律の正解はなく、水温・気温・風・ウェットの厚み・その日の体調で変わります。Wavesの目安は、水温15℃以上で120分、13〜15℃で90分、13℃未満で60分です。そこに風速5m以上、気温5℃以下が加わるごとに15分ずつ短くします。睡眠不足や前夜の飲酒があれば、さらに短くしてください。一度上がって温め直してから入り直すほうが、合計の時間は長く取れます。

海から上がった後に熱いシャワーを浴びてはいけないのはなぜですか?

冷え切った体に熱いお湯をかけると、皮膚の血管が急に広がります。すると手足に溜まっていた冷たい血液が一気に体幹に戻り、深部体温がさらに下がります。これがアフタードロップを深くする仕組みです。同時に血圧が急に下がって、めまいや失神を起こすこともあります。正しい順番は、まず着替えて車内暖房や温かい飲み物で体幹を温め、震えが収まってから35〜40℃のぬるめのお湯を使うことです。

持病があっても冬サーフィンはできますか?

高血圧、心臓の病気、糖尿病などがある人は、冷たい水への入水と急な温度差が体に大きな負担になります。できるかどうかは個人差が大きいので、必ず主治医に「冬に水温10℃台の海で運動する」と具体的に伝えて相談してください。許可が出た場合も、入水前後の温度差を小さくすること、一人で入らないこと、持ち時間を短めに設定することを守ってください。服薬中は、薬の種類によって体温調節や心拍に影響が出ることがあります。

翌日に体がだるいのは、冬サーフィンのせいですか?

可能性は高いです。冬の入水は、パドルの運動量に加えて、体温を保つための消費が上乗せされます。さらに冷えからの回復で、体はその夜から翌日にかけてもエネルギーを使い続けます。倦怠感だけなら、睡眠と食事で1〜2日で戻ります。ただし喉の痛みや微熱、強い眠気が伴う場合は、風邪の初期か、前日の冷えが深かったサインです。その日は休み、次回は入る時間を短くしてください。倦怠感が3日以上続くなら、医療機関を受診してください。

まとめ

冬サーフィンで体調を崩す原因は「海に入ったこと」ではなく、「冷えすぎたまま上がったこと」と「上がった後の順番」でした。要点を整理します。

  1. 冷えは「水中」「上がった直後」「帰宅後〜翌日」の3回来る。3回目の対策が一番手薄になりやすい
  2. トラブルは4種類。コールドショック・低体温・風邪や耳鼻・心臓への負担で、起きる時間もサインも違う
  3. 入らない判断は浜に着く前に。体温・睡眠・飲酒・食事・水温×気温×風・持病・前回の回復の7項目
  4. 水中では「震えの質・手の機能・言葉と判断・時間」の4テストで、2つ重なったら次の波で上がる
  5. 上がった後は、風を断つ→濡れを断つ→体幹から温める→糖分の順。熱いシャワー直行は禁止
  6. 帰宅後は、2時間後のぬるめ入浴、温かいたんぱく質の食事、耳と鼻のケア、7時間の睡眠

冬の海は、夏にはない静けさと、空いたラインナップが待っています。無理をしないことは、冬をあきらめることではなく、シーズンを通して海に通い続けるための技術です。次に入る朝は、出発前に体温計と予報を見て、「今日の持ち時間」を一言メモしてから家を出てみてください。

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サーファー専用LINEスタンプ誕生

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施設で切れすぎたから、自分たちで作った。citywave CORE LEASH

東京の人工サーフィン施設 citywave Tokyo では、強い水流で貸出用リーシュが頻繁に切れることが現場の悩みでした。そこで工場と直接やり取りし、施設の波・海・車での牽引テストを重ねて作ったのが CORE LEASH(6ft/7mm)です。

まず、この映像を見てください。

サーファーなら驚くテスト方法ですが、更には車で引っ張るテストまで…!

スタッフ内にもサーファーがいることから、citywaveだけでなく、海でも動きやすく、安全性の高いリーシュを作ろうと、デザイン、太さ、安全性を徹底的に追求して誕生しました。7mmレギュラー径・6ft・ダブルスイベル。初中級者の1本目や、台風シーズン前の交換用に。

仁
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この記事を書いた人

サーフィンにハマって海の近くに移住しちゃった女の子。効率良く楽しくサーフィンするために情報集めるサーフィンマニア。

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