11月の終わり、ウェットを5/3mmのセミドライに替えた最初の朝。駐車場で着るのに15分かかって、やっと海に入ったのに、沖に出るまでにもう腕がパンパン。隣の人はするすると抜けていくのに、自分だけスープ帯でぐるぐる回されている。「夏はこんなことなかったのに」と思いながら、1本も乗れずに上がった経験はありませんか?
実はこれ、体力が落ちたわけでも、サーフィンが下手になったわけでもないんです。厚いウェットを着た瞬間に、肩の可動域と浮力のバランスが変わります。夏のフォームのまま漕ぐと、ウェットと戦いながらパドルすることになり、力の半分がゴムの反発に食われてしまうんですね。
この記事では、冬にパドリングが進まなくなる3つの理由をまず整理します。そのうえで、肘の高さ・入水角・ストローク長を厚いウェット向けに組み替える3手順を解説します。入水前2分の肩の準備と、陸でできるチェックリストも用意しました。「それでも進まないならウェットのサイズを疑う」判断基準まで、順番に見ていきましょう。読み終わる頃には、次の冬の朝に試すことが具体的に決まっているはずです。
目次
- 冬にパドリングが進まない3つの理由|可動域・浮力・水温
- 夏と同じフォームが冬に通用しない3カ所
- ステップ1:肘の高さを落として「横から回す」
- ステップ2:入水角を立てて手前で水をつかむ
- ステップ3:ストロークを短く速くしてピッチで進む
- 入水前2分の肩まわりの準備
- 陸で確認できるチェックリスト
- よくある失敗パターンと対処法
- それでも進まないならウェットのサイズを疑う
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
冬にパドリングが進まない3つの理由|可動域・浮力・水温

まず最初に確認したいのが、冬のパドリングが重くなる原因は1つではないということです。「ウェットが硬いから」で片付けてしまいがちですが、実は可動域・浮力・水温の3つが同時に効いています。それぞれ対処法が違うので、分けて見ていきましょう。
理由1:肩の可動域が2〜3割削られる
5/3mmのセミドライを着て、陸で腕を真上に上げてみてください。夏のジャーフルなら耳に腕がつくのに、冬ウェットだと耳の手前で止まる人がほとんどです。脇の下と肩の後ろにあるゴムが突っ張って、腕を高く上げる動きを邪魔するからですね。
目安としては、腕を上げられる高さが夏より2〜3割狭くなると思ってください。さらに胸まわりのゴムが厚いので、ボードに腹ばいになったときに胸を反らす動きも制限されます。つまり「腕を高く上げて遠くに伸ばす」という夏のパドルは、冬ウェットでは物理的に再現できないんです。無理に再現しようとすると、ゴムの反発と戦う分だけ余計な力を使ってしまいます。
理由2:浮力の位置が変わって胸が沈まない
意外と見落とされるのが浮力です。5mmのネオプレンは、それ自体がかなり浮きます。特に胸と背中の厚い部分が浮くので、腹ばいになったときに上半身がいつもより高い位置に乗ってしまうんですね。
夏なら胸がボードに密着して、ボードと体が一体になって滑ります。ところが冬ウェットだと、胸が浮いて体が「ボードの上に乗っかっている」状態になりやすい。すると重心が高くなってボードが左右にふらつき、1ストロークごとに進む距離が減ります。進まない原因が腕ではなく体の位置にある、というケースは本当に多いんです。
理由3:水温で筋肉の出力が落ちる
最後は水温です。湘南や千葉の真冬は水温が13〜15℃まで下がります。手先と肩まわりが冷えると、筋肉が十分に収縮できなくなり、同じ力を出すつもりでも実際の出力は落ちます。特に入水直後の10分は、まだ体が温まっていないのに一番強い力でゲッティングアウトする時間帯ですよね。
この「冷えた状態で最大出力を求められる」時間に、夏と同じ大きなフォームで漕ぐのが一番消耗します。冬は小さく速く、体が温まってから出力を上げる。この順番を守るだけで、沖に着いたときの腕の残り方がまるで違ってきます。
夏と同じフォームが冬に通用しない3カ所
厚いウェットでも進む人と進まない人の差は、筋力ではなくフォームの「組み替え」ができているかどうかです。夏のパドルで正解だった動きのうち、冬に裏目に出るのは3カ所。ここを把握しておくと、次のステップで何を変えるかが明確になります。
高い肘のリカバリー
夏のパドルでは、水から出した腕を高い肘で前に運ぶ「ハイエルボー」が推奨されます。肩甲骨を使えて、入水までの軌道が安定するからです。ところが冬ウェットでは、肘を高く上げる動きそのものが脇のゴムに阻まれます。無理に上げようとすると、肩がすくんで首に力が入り、1ストロークごとに余計な抵抗が生まれるんです。
遠くへ伸ばす入水
「できるだけ遠くに手を伸ばして入水する」というのも夏の定番アドバイスですよね。しかし厚いウェットで腕を遠くに伸ばすと、肩の前側が引っ張られて胸が開きません。結果として入水の瞬間に体がねじれ、ボードがヨレて推進力が逃げます。冬は「遠く」より「正面の手前」が正解になります。
長いストローク
遠くで入水して太ももの横まで長く掻く。これは1ストロークあたりの推進距離を稼ぐ理想形です。ただ、長いストロークは1回ごとの肩の回転量が大きく、冬ウェットだとゴムの反発を毎回最大で受けることになります。10回漕げば10回分の反発を体力で払う計算です。ここは発想を変えて、1回の距離を捨ててピッチで稼ぐほうが、冬は結果的に速く進みます。
ステップ1:肘の高さを落として「横から回す」

ここからが具体的な組み替え手順です。最初に変えるのは、水から腕を抜いて前に戻すリカバリーの軌道。夏の「上から運ぶ」を、冬は「横から回す」に変えます。
やり方
水から手が出たら、肘を肩の高さまで上げずに、肩のライン〜やや下の高さで前に運びます。イメージは水面すれすれを腕が通る感じです。肘の角度は90度より少し開き気味、手のひらは下向きのまま。腕の重さを肩で持ち上げるのではなく、肩甲骨を外にスライドさせて腕を前に送り出します。
このとき、脇のゴムがほとんど突っ張らないことを確認してください。もし突っ張るなら、まだ肘が高すぎます。「こんなに低くていいの?」と感じるくらいで、冬ウェットにはちょうどいい高さなんです。
なぜ進むのか
肘を落とすと、ゴムの反発を受ける角度を避けられるので、腕を前に戻す動作で力をほとんど使わなくなります。使わなかった力は、水を掻く側に回せます。リカバリーは「休む局面」、ストロークは「働く局面」というメリハリが、冬のパドルでは特に効いてきます。
また、肘が低いと腕の軌道が体に近くなり、入水位置が自然と正面寄りになります。ステップ2の入水角の修正にそのままつながるので、順番としても最初に取り組むのが正解です。
注意点
横から回すといっても、腕を真横に大きく振り回すのは違います。それだと体がねじれてボードが左右に振れます。あくまで「肘の高さを落とす」のが目的で、腕は体の幅の中で前後に動かすイメージを守ってください。
ステップ2:入水角を立てて手前で水をつかむ
次は入水です。夏の「遠くへ伸ばして浅く入れる」を、冬は「手前で立てて深く入れる」に変えます。
やり方
肩の真下よりも少し前、顔の斜め前あたりに指先から入水します。このとき前腕を立てて、指先・手首・肘の順に水に入る形を意識してください。入水角は夏の20〜30度から、冬は45度くらいまで立てる感覚です。
入ったらすぐに、前腕全体で水を「つかむ」感覚を作ります。クロールでいうキャッチの局面ですね。手のひらだけでなく、手首から肘までの前腕を一枚の板にして、ボードの下に水を押し込むようなイメージです。
なぜ進むのか
手前で入水すると、肩を前に伸ばしきる必要がなくなり、ウェットの肩まわりのゴムが突っ張りません。胸が開いたままなので、体のねじれも起きにくい。つまり入水の瞬間に推進力を逃がさなくなります。
さらに、入水角を立てると水をつかむ深さが出ます。冬は浮力で体が高い位置にあるぶん、浅く入水すると水面をなでるだけになりがちです。深めにつかんで、しっかり水を後ろに送る。この1点だけでも、1ストロークあたりの進みが体感で変わります。
体の位置もセットで直す
ここで理由2で触れた浮力の問題も一緒に解決します。入水のタイミングで、みぞおちをボードに軽く押しつける意識を持ってください。胸を反らすのではなく、みぞおちを沈めてボードと密着させる。これで重心が下がり、ボードのふらつきが消えます。冬ウェットでは夏より「意識的に沈める」必要がある、と覚えておきましょう。
ステップ3:ストロークを短く速くしてピッチで進む
最後は掻く長さです。夏の「太ももまで長く」を、冬は「腰の横で抜いて速く回す」に変えます。
やり方
ステップ2でつかんだ水を、肘を曲げたまま体の下を通して後ろに送ります。そして腰骨の横あたりで手を抜きます。太ももまで掻き切らないのがポイントです。1ストロークの時間を短くするぶん、回転数を上げます。目安は夏より1〜2割速いピッチ。「短く、速く、同じリズム」を守ってください。
リズムの作り方としては、心の中で「イチ、ニ、イチ、ニ」と数えるのが簡単です。数が乱れたら疲れてきたサインなので、一度力を抜いて数え直します。
なぜ進むのか
ストロークを短くすると、肩の回転量が減ってゴムの反発を最小限にできます。1回の推進距離は少し落ちますが、反発に食われていた力が減るので、トータルの推進効率は上がるんです。特に冬は水の密度が高く、短い掻きでもしっかり抵抗が得られます。「冬の水は短く掻いても進む」というのは、多くの冬サーファーが体感しているはずです。
また、短く速いピッチは体温を上げやすいという副産物があります。入水直後の冷えた10分を、小さく速いパドルで乗り切ると、沖に着く頃には肩まわりが温まって大きな動きができるようになります。ゲッティングアウトは短く速く、波待ちからのテイクオフでは少し長めに。冬はこの使い分けが効きます。
3ステップのまとめ表
| 項目 | 夏のフォーム | 冬(5/3mm以上)のフォーム |
|---|---|---|
| 肘の高さ | 肩より高く上から運ぶ | 肩の高さ以下で横から回す |
| 入水位置 | できるだけ遠く | 顔の斜め前(手前) |
| 入水角 | 20〜30度で浅く | 45度前後で立てて深く |
| ストローク長 | 太ももまで長く | 腰骨の横で抜く |
| ピッチ | ゆっくり大きく | 1〜2割速く小さく |
| 胸の位置 | 自然に密着 | みぞおちを意識的に沈める |
入水前2分の肩まわりの準備

フォームを組み替えても、肩が冷えて固まったままでは可動域が出ません。冬は着替えた直後の肩が一番動かない状態です。ここで2分だけ時間を使うと、最初の10分のパドルが明らかに軽くなります。長いストレッチは不要で、ウェットを着た状態でできる3つだけで十分です。
1. 肩甲骨の寄せ・開き(30秒)
両腕を前に伸ばして手を組み、背中を丸めて肩甲骨を外に開きます。次に肘を後ろに引いて肩甲骨を寄せます。これを10回。ウェットのゴムを「温めて伸ばす」感覚で、ゆっくり大きく動かしてください。ゴムは体温で柔らかくなるので、この動きでウェット自体の抵抗も少し減ります。
2. 腕の横回し(30秒)
ステップ1で使う「横から回す」軌道を、陸で先に確認します。肘を肩の高さに置いて、腕を前後に大きく回す動きを左右10回ずつ。真上に回すのではなく、水面すれすれを通るイメージで横に回すのがポイントです。ここで脇のゴムが突っ張る高さを覚えておくと、海で肘の高さを迷わなくなります。
3. みぞおち押し込み(30秒)
ボードを砂浜に置いて腹ばいになり、みぞおちをボードに押しつける位置を確認します。胸を反らすのではなく、みぞおちを沈めて体がボードと一体になる感覚です。この姿勢のまま、腕の横回しを5回ずつやると、冬のパドルの基本姿勢がそのまま体に入ります。
残り30秒は、手首と指をグーパーして末端を動かしておきましょう。手が冷えていると水をつかむ感覚が鈍るので、ここも地味に効きます。入水前のルーティン全体については『サーフィン前のストレッチ10選』にまとめているので、時間があるときはそちらも組み合わせてみてください。
陸で確認できるチェックリスト
冬のパドルがうまくいかない人の多くは、海の中で修正しようとして失敗しています。波が来る、流される、寒い、という状況で新しいフォームを覚えるのは無理があるんです。だからこそ、陸で確認できることは陸で済ませておきましょう。
ウェットを着た状態で確認する5項目
着替えが終わった直後、海に入る前に次の5つをチェックしてください。
- 腕を真上に上げたとき、耳に腕がつくか(つかなければ肘を落とすフォームが必須)
- 肘を肩の高さで横に回したとき、脇のゴムが突っ張らないか(突っ張る高さが上限)
- 腹ばいで腕を前に出したとき、胸が浮かずにみぞおちがボードに乗るか
- 首を上げて前を見たとき、首の後ろのゴムで息が詰まらないか(詰まるなら首をすくめて漕ぐことになる)
- 両腕を前で組んで背中を丸めたとき、背中のゴムが引っ張って止まらないか
自宅でできる週1回の確認
海に行かない日でも、ウェットを着て床に腹ばいになり、3ステップの動きをゆっくり10回ずつやってみてください。鏡があれば肘の高さを横から確認できます。たった5分ですが、冬のフォームを体に定着させるには、海の中で何度も失敗するより圧倒的に効率がいい方法です。
このチェックで「耳に腕がつかない」「脇が突っ張る」「背中が引っ張って止まる」の3つすべてに当てはまる人もいるはずです。その場合、フォームだけでなくウェット自体に問題がある可能性があります。その判断基準は後ほど詳しく説明します。
よくある失敗パターンと対処法

ここまでの手順を試しても、最初のうちは必ずどこかでつまずきます。冬のパドルで特に多い失敗を4つ挙げて、それぞれの対処法を整理しておきますね。
失敗1:頭を上げすぎて首と肩が固まる
冬は視界を確保しようとして、夏より頭を高く上げる人が多いです。首の後ろのゴムが厚いので、頭を上げるだけで首に力が入ります。すると肩がすくみ、ステップ1の「肘を落とす」が崩れます。対処は、あごを引いて目線だけで前を見ること。前を見るのは波をチェックする数秒だけで十分で、それ以外は視線を1〜2m先の水面に落としましょう。
失敗2:短く速くを「力んで速く」と誤解する
ステップ3の短く速いピッチを、全力で速く掻くことだと勘違いすると、30秒で腕が終わります。短く速いのは「動きの大きさ」であって、力の強さではありません。目安は、沖に着いたときに会話ができる程度の息づかいです。ゲッティングアウトでそれ以上に息が上がっているなら、力みすぎています。一度リズムを落として「イチ、ニ」の数え直しから始めてください。
失敗3:浮力を嫌がって体を反らす
ボードが左右にふらつくと、無意識に胸を反らして安定させようとする人がいます。でも胸を反らすと重心がさらに上がり、ふらつきが増えます。冬は逆で、みぞおちを沈めることで安定させる。ふらついたときほど「沈める」と覚えてください。腰を反らすクセは腰痛の原因にもなるので、反り腰パドルになっていないか『サーフィンの腰痛』の記事もあわせて確認しておくと安心です。
失敗4:最初の10分で全力を出す
水が冷たいうちは筋肉の出力が落ちています。ここで夏と同じ全力ゲッティングアウトをすると、肩が温まる前に疲労が先にきます。対処は、最初の5分を「ウォーミングアップのパドル」と割り切ること。小さく速く、6〜7割の力で漕ぎ、体が温まってから出力を上げます。急いで沖に出ても、腕が残っていなければ乗れません。冬は入る前の体調管理と、水中での力の配分がセットです。詳しくは『冬サーフィンで体調を崩さない』で入る前・水中・翌日の線引きを整理しています。
それでも進まないならウェットのサイズを疑う
ここまでのフォーム修正をやっても、まだ進まない。陸のチェックリストで3つ以上引っかかる。その場合は、フォームではなくウェットのサイズが合っていない可能性が高いです。パドリングの記事の多くがここに触れませんが、冬に限ってはサイズ不適合がパドルの最大の敵になります。
サイズが合っていないと判断する基準
次の表で、自分のウェットがどこに当てはまるか確認してみてください。
| 症状 | 原因の可能性 | 判断 |
|---|---|---|
| 腕を上げると脇が食い込んで痛い | 着丈または身幅が小さい | サイズアップまたはオーダー検討 |
| 腹ばいで胸が浮き、お腹に空気がたまる | 身幅が大きい(浮力が偏る) | サイズダウン検討 |
| 肩を回すと肩口のゴムがねじれて戻らない | 袖丈・肩幅が合っていない | オーダーまたは別ブランド |
| 首を上げると息が詰まる | 首回りがきつい、またはゴムが硬化 | 首周りの調整または買い替え |
| 3年以上使い、脇と肩のゴムが硬い | ゴムの経年硬化 | 買い替え(寿命) |
| 新品なのに全体的に動きにくい | 着方の問題(股・脇の引き上げ不足) | 着方の見直し |
着丈が合っていないと、腕を上げたときに脇が食い込んで可動域が削られます。身幅が大きすぎると、ゴムと体の間に水が入って冷えるうえに、胸に空気がたまって浮力が偏ります。どちらもフォームでは解決できません。
着方で改善できる場合
新品なのに動きにくい場合、意外と多いのが着方の問題です。セミドライは生地が厚いぶん、股と脇をしっかり引き上げないと、肩まわりに余裕が出ません。足を通したら股を上まで引き上げ、腕を通したら脇の下のゴムを肩に向かって手で引き上げる。この2つをやるだけで、肩の可動域が1段階戻ることがあります。
買い替える場合の見方
既製品を買う場合は、身長・体重だけでなく肩幅と胸囲で合わせるのが基本です。試着できるなら、必ず腕を真上に上げる動きと、腹ばいで腕を前に出す動きを店内で試してください。測り方の詳細は『ウェットスーツのサイズの選び方』にまとめています。セミドライと5mmフルスーツのどちらにするかで迷うなら『セミドライと5mmフルスーツの違い』も参考にしてください。ゴムが経年で硬くなっている場合は、どれだけフォームを直しても限界があるので、寿命の判断も忘れずに。
よくある質問(FAQ)
Q1. 冬は夏よりパドリングが遅くなるのは普通ですか?
はい、普通です。厚いウェットで肩の可動域が狭まり、水温で筋肉の出力も落ちるので、同じ力で漕いでも夏より進みません。目安として、夏と同じ距離のゲッティングアウトに1〜2割多く時間がかかるのは自然な範囲です。ただし「まったく前に進まない」「スープ帯を抜けられない」レベルなら、フォームかウェットのサイズに原因があります。この記事の3ステップと陸のチェックリストで切り分けてみてください。
Q2. セミドライとドライスーツではどちらがパドルしやすいですか?
パドルのしやすさだけで言えばセミドライです。ドライスーツは内部に空気の層があるため浮力が強く、ボードに体を沈めにくいのでパドルとドルフィンスルーが難しくなります。保温性は圧倒的にドライスーツです。ただ湘南や千葉の冬なら、5/3mmのセミドライに起毛インナーを合わせるほうが、動きやすさと暖かさのバランスがよい人が多いです。水温が10℃を切るエリアで、長時間入る人はドライスーツも選択肢になります。
Q3. インナーを着るとさらにパドルが重くなりませんか?
薄手の起毛インナー1枚なら、パドルへの影響はほとんどありません。重くなるのは、厚手のインナーを重ね着したときや、サイズが合っていないインナーがウェットの中でよれたときです。インナーは「薄くて伸びる1枚」を基本にして、寒ければウェット側の厚さで調整する考え方が、パドルを犠牲にしない選び方です。首まわりに生地が重なると首が回りにくくなるので、襟の形にも注意してください。
Q4. 冬はボードの浮力を上げたほうがいいですか?
一概には言えませんが、冬だけ少し浮力のあるボードに乗るサーファーは多いです。ウェットの重さと体の出力低下を、ボードの浮力で補う考え方ですね。ただし、浮力を上げすぎるとウェットの浮力と合わさって体が沈まず、かえってふらつきます。目安は普段より1〜2L程度の増量までにして、まずはこの記事のフォーム修正で対応するのがおすすめです。ボードを替えてもフォームが夏のままなら、結局進みません。
Q5. 冬ウェットで肩が痛くなったらどうすればいいですか?
痛みが出るのは、ウェットの反発に逆らって肘を高く上げ続けているケースがほとんどです。まずステップ1の「肘を落とす」を徹底して、肩の上げ下げ自体を減らしてください。痛みが続く場合は、その日は無理をせず上がる判断も必要です。肩の痛みの原因と対処は『サーフィンで肩が痛い原因と治し方』で詳しく解説しているので、痛みが2回以上続くならそちらも読んでおいてください。
Q6. ウェットは何年くらいで硬くなりますか?
使用頻度にもよりますが、週1〜2回使うセミドライなら、3シーズン目あたりから脇と肩のゴムが硬くなってきます。洗わずに干す、直射日光で乾かす、車内に放置する、といった扱いをすると1〜2年で硬化が進みます。陸のチェックリストで「脇が突っ張る」「背中が引っ張って止まる」が年々ひどくなっているなら、フォームの問題ではなく寿命を疑ってください。
まとめ
冬にパドリングが進まないのは、体力の問題ではなく、厚いウェットで変わった条件に夏のフォームが合っていないからです。今日から試してほしいことを整理しておきます。
- 進まない原因は「可動域・浮力・水温」の3つが同時に効いている
- 夏の「高い肘・遠い入水・長いストローク」は冬に裏目に出る
- ステップ1:肘を肩の高さ以下に落として横から回す
- ステップ2:顔の斜め前に45度で入水し、前腕で深く水をつかむ
- ステップ3:腰骨の横で抜いて、1〜2割速いピッチで進む
- 入水前2分で肩甲骨・腕の横回し・みぞおち押し込みを済ませる
- 陸のチェックリストで3つ以上引っかかるならウェットのサイズを疑う
秋の段階でウェットが動きにくいと感じていた人は、『ウェットスーツが動きにくい原因4つ』も読んでみてください。ウェット側の原因を先に潰しておくと、冬の組み替えがスムーズです。パドルの基本そのものを見直したい人は『サーフィン パドリングのコツ』から。
冬の海は人が少なくて、波が良くて、上がったあとの温かい飲み物が最高なんですよね。パドルさえ軽くなれば、冬は一番サーフィンが上達する季節です。次の寒い朝、まずは肘の高さを落とすところから試してみてください。


















