ウェットスーツの脱ぎ方は、着るとき以上に手順で差がつきます。波が良くてやりすぎた日ほど腕はパンパンで、濡れた生地は肌に貼りついて動きません。そこで力任せに引くと、爪が食い込んでビリッ。修理店に持ち込まれる破れの多くは、海の中ではなく着替えの数分間に起きています。
この記事では、1人でも破らずに脱げる5手順を最初にまとめました。そのうえで「1人で脱げない」3つの原因を切り分けます。バックジップ・チェストジップ(フロントジップ)・ノンジップ・セミドライ別のコツも解説します。5mmのダイビングスーツの脱ぎ方と、足先から肩までの着方、着脱が楽になる道具まで網羅しました。
【2026年10月16日更新】ダイビングスーツ(5mmワンピース・ツーピース)とセミドライの脱ぎ方を追加しました。1人で脱げないときの対処法も新設しています。女性向けの髪・インナーの扱い、脱ぐ時間の目安表、FAQ9問も新しくしています。
この記事でわかること(目次)
- ウェットスーツの脱ぎ方5手順|濡れたまま破らず脱ぐ
- 1人で脱げない3つの原因と、その場でできる対処
- タイプ別の脱ぎ方|バックジップ・チェストジップ・ノンジップ・セミドライ
- ダイビングスーツの脱ぎ方|5mmワンピース・ツーピース・ボート上
- ウェットスーツの着方|足先から肩までの正しい手順
- タイプ別の着方の注意点
- 着脱が楽になる道具と裏技|スプレーの是非も検証
- 破れる原因の8割は着脱時にある
- やってはいけないNG行動5つ
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
ウェットスーツの脱ぎ方5手順|濡れたまま破らず脱ぐ

脱ぐ順番は着るときの逆で、肩→肘→腰→膝→足首です。全工程に共通する原則は「引かずに裏返す」。生地を下へずり下げるのではなく、外側にロールしながら脱いでいくと、摩擦がほとんどかかりません。まず全体の流れを5手順で押さえてください。
- ジップを全開にし、首のベルクロは留めておく。砂の上ではなくマットやバケツの上に立つ
- 両肩の生地を肩の外側まで下ろし、片方ずつ「肘から」腕を抜く
- お腹→お尻→太ももの順に、生地を外側へ裏返しながら膝まで下ろす
- 座るか何かにもたれ、片足ずつ膝下を裏返して足首まで落とす
- 足首の生地を内側に折り、かかとを先に出して足を抜く。抜けなければ水かお湯を注ぐ
手順1|ジップ全開とベルクロ、足元の準備
最初にやるのは、ジップを「最後まで」開けることです。バックジップは紐を背骨に沿って真下に引き、途中で止めません。途中までだと肩が抜けず、結局そこで引っ張ることになります。首のベルクロは外したままにせず、軽く留めておきましょう。ベルクロの硬い面がむき出しだと、裏返した生地に食いついて毛羽立ちの原因になります。
足元も先に整えます。砂の上で脱ぐと、裏返した生地に砂が付き、次に着るときヤスリになります。着替えマットかバケツの上に立ち、ポンチョを使うなら先に頭からかぶっておきます。着替え環境の整え方はサーフィンの着替えおすすめ|ポンチョ・ドライローブ・バケツ比較にまとめています。
手順2|肩を落とし、腕は「肘から」抜く
肩の生地を両方とも肩の外側まで下ろしたら、片方の袖口を反対の手で押さえます。そのまま手首を引くのではなく、肘を先に抜いてください。手首を引くと袖口の縫い目に全力がかかり、ここが一番裂けやすい場所です。肘さえ抜ければ、手はスルッとついてきます。抜いた側の手で反対の袖を持つと、脇に負担がかからず楽に抜けます。
手順3〜4|腰から膝までは裏返しロール、座って膝下へ
上半身が抜けたら、腰から下は「裏返しながら丸めて下ろす」が正解です。お腹→お尻→太ももと外側に返していくと、濡れていても膝までストンと落ちます。ここで立ったまま足を抜こうとするのが、転倒事故の典型パターンです。バケツの縁や車のステップに座るか、壁や車に軽くもたれてから、片足ずつ膝下を裏返してください。
手順5|足首は内折り+水で、かかとを先に出す
一番の難所は足首です。足首の生地を内側に折り返してから、かかとを先に外へ出します。それでも抜けないときは、折り返した足首に首元から水かぬるま湯を注いでください。ふくらはぎに水の層ができて、拍子抜けするほど簡単に抜けます。お湯は40度以下が目安で、熱湯は接着剤を剥がします。お湯の持ち運びはサーフィンのポリタンクとお湯|秋冬の海上がり完全ガイドで解説しています。
脱ぎ終えたスーツは裏返しのままで構いません。裏返しのほうが砂が付きにくく、乾きも早いからです。帰宅後の洗い方と干し方はウェットスーツの洗い方|洗濯機・脱水はNG?干し方・保管術【2026】を参考にしてください。
1人で脱げない3つの原因と、その場でできる対処
「肩までは下ろせたのに、そこから動かない」「足首だけどうしても抜けない」。1人で脱げないときの原因は、だいたい次の3つのどれかです。原因ごとに対処が違うので、まず当てはまるものを探してください。
| 原因 | 起きていること | その場の対処 |
|---|---|---|
| ① 生地が肌に吸着している | 濡れた裏地と皮膚の間の水が抜け、真空のように貼りつく | 首や手首から水を入れる。ぬるま湯なら効果倍増 |
| ② 握力が残っていない | パドルで前腕が疲れ、生地を「面」で持てず指先で引いている | 肘をテコにする。座って体重で下ろす |
| ③ ずり下げている | 裏返さずに引いているため、生地全体が肌と擦れている | 一度肩まで戻し、外側へロールし直す |
原因①|吸着は「水を入れる」で一発で解決
最も多いのが吸着です。海から上がって時間が経つほど、裏地と皮膚の間の水が抜けて貼りつきます。対処は単純で、首元や手首の隙間から水を入れ直すだけです。真水でも効きますが、ぬるま湯なら生地が柔らかくなって効果が上がります。シャワーがあるビーチなら、脱ぐ前にスーツの中へ水を流し込んでから脱ぐのが一番楽です。
原因②|握力ゼロなら、肘のテコと体重を使う
長時間入った日は、前腕が張って指に力が入りません。この状態で指先で引くと、爪が立って裂けやすくなります。腕を抜くときは、反対の手で袖口を押さえたまま、肘を曲げて外へ回すように抜きます。肘がテコになり、握力がなくても抜けます。下半身は座って、体重で生地を押し下げる形にすると、腕の力がほぼ要りません。
原因③|脱げないときは一度「戻す」のが近道
脇や太ももの途中で止まっているなら、裏返さずにずり下げている可能性が高いです。途中からロールし直すのは難しいので、一度肩や腰まで戻してからやり直します。遠回りに見えて、結局これが一番早く、生地も傷めません。
仲間に手伝ってもらうときの頼み方
手伝ってもらうなら、「袖口(裾口)を持って、自分が腕を引く間だけ固定して」と頼みます。相手に引っ張ってもらうと、縫い目に外から力がかかって裂けます。固定役だけお願いし、動くのは自分、が鉄則です。最後に足首を持ってもらうときも同じで、相手は動かさず、自分が足を引きます。
薄めたコンディショナーを入れた「リンス水」を首元から流す方法も知られています。滑りは良くなりますが、裏地に成分が残ると臭いとヌメリの原因になります。使うなら少量にして、帰宅後に必ず真水で流してください。日常的に使うなら、後述するウェットスーツ専用の水溶性スプレーのほうが安全です。
タイプ別の脱ぎ方|バックジップ・チェストジップ・ノンジップ・セミドライ

腰から下の脱ぎ方はどのタイプも同じです。違いは上半身で、ジップの位置と生地の厚さで最初の一手が変わります。自分のスーツに合うところだけ読んでください。タイプ選びそのものはチェストジップとバックジップの違い|後悔しない選び方で比較しています。
| タイプ | 最初の一手 | 引っかかりやすい場所 | 脱ぐ時間の目安(慣れた人) |
|---|---|---|---|
| バックジップ | 紐を真下に引いて全開 | 肩の付け根 | 1〜2分 |
| チェストジップ(フロントジップ) | フラップを開け、首穴を両手で広げて頭を抜く | 首穴・肩 | 2〜3分 |
| ノンジップ | 首まわりを指の腹で面で広げる | 首穴(生地が薄い) | 3〜4分 |
| セミドライ(5mm起毛) | お湯を入れてから作業。防水ジップは斜めに引かない | 脇・足首 | 3〜5分 |
バックジップ|紐は真下、肩は「片方ずつ」
一番脱ぎやすいタイプですが、紐を斜めに引いてレールを壊す事故が多いです。紐は背骨に沿って真下へ。全開にしたら、肩の生地を片方ずつ外側へ落とします。両肩を同時に下ろそうとすると、背中の開口部が左右に引っ張られて縫い目が傷みます。肩が落ちたら、あとは5手順どおりです。
チェストジップ(フロントジップ)|頭を抜く前に両腕を抜く
胸のフラップから脱ぐチェストジップは、順番を間違えると頭が抜けなくなります。正しい順は、ジップを開ける→両腕を袖から抜く→首穴を両手で広げて頭を抜く、です。先に頭を抜こうとすると、腕が背中側で絡まります。首穴は薄い生地なので、指を立てず指の腹で面を広げてください。
伸びの良いストレッチ素材のチェストジップでも、手順は同じです。生地が柔らかいぶん爪が食い込みやすいので、むしろ「面で持つ」意識を強くします。髪の長い人は、頭を抜く前に髪を首穴の外に出してからくぐると、ジップやベルクロに巻き込みません。フロントジップの構造と着方の違いはノンジップウェットスーツとは?チェストジップとの違いと着方でも整理しています。
ノンジップ|首穴を広げるのは「指の腹」だけ
ジップレスは開口部が一番狭く、脱ぐ難易度も最高クラスです。首まわりの生地は他より薄く柔らかいので、ここを指で引っ張った瞬間に裂けます。両手の指の腹で首穴を左右に面で広げ、あごを引いて頭をくぐらせてください。腕を先に抜いてから頭、という順番はチェストジップと同じです。
セミドライ|起毛裏地は「お湯を入れてから」が前提
冬のセミドライは生地が5mm前後あり、起毛の裏地が濡れた肌に強く貼りつきます。乾いた状態で脱ごうとするのが一番つらいので、脱ぐ前に首元からぬるま湯を入れて、裏地全体を湿らせてください。これだけで脱ぎやすさが別物になります。防水ジップはレールが硬いので、斜めに引かず必ず直線で開けます。
寒い日はポンチョの中で脱ぐと体が冷えません。先にポンチョをかぶり、中で肩と腕を抜き、腰から下はポンチョの裾から裏返して落とします。構造の違いはセミドライと5mmフルスーツの違い|どっちを買うか判断表を参考にしてください。
ダイビングスーツの脱ぎ方|5mmワンピース・ツーピース・ボート上

ダイビング用のウェットスーツは、サーフィン用より厚く、裏地が貼りつきやすい作りです。ダイビング終わりで「どうしても脱げない」と言われる原因はここにあります。基本の5手順は同じですが、違いを知っておくと作業が半分になります。
| 項目 | サーフィン用 | ダイビング用 |
|---|---|---|
| 厚さ | 2〜5mm(季節で変える) | 3〜6.5mm。5mmが主流 |
| 裏地 | ジャージか起毛が中心 | スキン(ゴム面)裏地のモデルがあり、肌に吸着しやすい |
| ジップ | バック・チェスト・ノンジップ | バックジップが主流。紐が長い |
| 付属品 | ブーツ・グローブは別 | ブーツ・グローブ・フードを重ねる。ツーピースは2枚重ね |
| 脱ぐ場所 | 駐車場・ビーチ | ボート上・器材置き場。足場が揺れる |
脱ぐ順番|器材→フード→グローブ→ブーツ→スーツ
ダイビング終わりは、スーツより先に外すものがあります。タンクとBCDを外し、フードとグローブを取り、ブーツを脱いでからスーツに取りかかります。ブーツを履いたままだと、足首の生地がブーツに引っかかって抜けません。ボート上ではまず器材を固定し、座れる場所を確保してから脱ぎ始めてください。揺れる足場で立ったまま足を抜くのは、転倒の原因になります。
スキン裏地は「水を入れる」と「ビニール袋」で滑らせる
ダイビングスーツに多いスキン裏地は、濡れた肌に真空のように貼りつきます。脱ぐ前に首元から水を入れて、裏地と肌の間に水の層を作るのが基本です。エキジット直後に浅瀬やシャワーで水を入れておくと、ボート上での作業が楽になります。手首と足首は、ビニール袋をかぶせてから抜くと摩擦が消えます。パウダーやシャンプーで滑らせる方法もありますが、海に流れ出るので周囲と環境への配慮が必要です。
ツーピース(ロングジョン+ジャケット)の脱ぎ方
ツーピースは、まず上のジャケットから脱ぎます。前面のファスナーかフックを外し、肩→肘の順に腕を抜きます。次にロングジョンで、肩紐を外して腰から裏返しロールです。2枚重ねの部分は厚みが倍になるので、腰まわりは特に「裏返す」意識を強くしてください。寒いポイントでは、ジャケットを脱いだらすぐタオルかポンチョを肩にかけると体温が逃げません。
ダイビング終わりに体が冷えて脱げないときは
水温が低いポイントでは、手がかじかんで生地を持てないことがあります。その場合は無理に脱がず、先にお湯で手を温めるか、温かい飲み物で体を戻してから脱ぎます。肘のテコと座っての体重利用は、ダイビングスーツでも同じように効きます。水が冷たい時期の手の冷えはサーフィンで手足が冷たい|秋冬の末端冷え対策7つが参考になります。
なお、ドライスーツは構造が別物で、首と手首のシールを傷めない独自の手順が必要です。サーフィン用ドライスーツの扱いはサーフィン用ドライスーツとは?ウェットとの違いと使える条件で解説しています。
ウェットスーツの着方|足先から肩までの正しい手順

ここからは着方です。順番は足先→膝→腰→腕→肩で、下から積み上げます。大原則は「引かずに手繰る(たぐる)」。生地を上に引っ張り上げるのではなく、たるみを少しずつ手前に送り込みます。この感覚がつかめれば、フルスーツでも5分かからずに着られるようになります。
着る前の準備|体・爪・場所の3点チェック
足を突っ込む前に30秒だけ準備します。まず汗や水気をタオルで拭きます。濡れた肌はゴムに貼りつき、摩擦が何倍にもなるからです。次に手足の爪を確認します。長い爪や割れた爪は、それだけで凶器です。爪切りを車に1本積んでおくと安心です。最後に場所です。砂の上で着替えると砂粒が生地と肌の間に入り、ヤスリのように生地を削ります。マットかシートの上で着替えてください。
下半身|つま先を通したら「かかと」を最優先で出す
脚の裾を膝のあたりまで裏返してから片足を入れます。つま先は入りますが、必ずかかとで一度引っかかります。ここで裾を引っ張るのはNGです。裾口を指の腹で軽く広げ、かかとを先に外へ出しましょう。かかとさえ出れば、膝下の生地を少しずつ手繰り上げるだけです。持つのは生地の端ではなく面全体。手のひらと指の腹で挟むように持つと、爪が立ちません。左右交互に、少しずつが合言葉です。
腰まわり|股の隙間をゼロにしてから上半身へ
両脚が太ももまで上がったら腰の工程です。ここで手を抜くと、あとで肩が上がりません。太もも→お尻→股の順に、たるみを下から送り込みます。目安は股とスーツの間に隙間がなくなるまで。軽く屈伸したり小さくジャンプしたりすると、生地が体に馴染みます。腰から下で全体の7割が決まります。ここが完璧なら上半身は驚くほど楽です。
腕と肩|腕を通したら天に向かって突き上げる
腕は片方ずつ通します。袖口に手を入れたら、袖の生地を反対の手で手繰りながら肘、肩の順に送り込みます。手首まで通ったら、腕をまっすぐ天に突き上げてください。これだけで脇の生地が上がり、肩の窮屈さが消えます。両腕が入ったら、胸と背中のたるみを中央に寄せ、脇の余りをなくします。最後にジップを閉めて首を整えたら完成です。髪の長い人は、先に結んでおくとジップに巻き込みません。
着終わったら30秒の最終チェック
海に向かう前に5点を確認します。膝パッドが膝のお皿の真上にあるか。股に隙間がないか。脇の下に生地の余りがないか。首の内側が折れ込んでいないか。ジップが最後まで閉まり、ベルクロが留まっているか。この30秒で、海の中の「なんか動きにくい」がほぼ消えます。それでも動きにくい場合はウェットスーツが動きにくい原因4つ|秋のパドルを軽くする手順で原因を切り分けてください。
タイプ別の着方の注意点|チェストジップ・バックジップ・ノンジップ
下半身の手順はどのタイプも共通ですが、上半身はジップの構造でコツが変わります。脱ぎ方の章と対になる形で、着るときのポイントをまとめます。
バックジップ|紐は背骨に沿って真上に引く
背中のジップを全開にできるので、開口部が広く一番着やすいタイプです。注意点は紐の扱いで、斜め上ではなく背骨に沿って真上に引き上げます。斜めに引くとジップが噛み、無理に動かすとレールごと壊れます。閉まりが悪いときは一度下まで戻し、背中のたるみを左右に逃がしてから再挑戦してください。
チェストジップ|腕→フラップ→頭の順番を守る
手順は、両腕を通す→フラップを頭の上にかぶせる→首穴に頭を入れる、です。よくある失敗は先に頭を入れてしまい、腕が背中で絡まるパターンです。首穴に頭を通すときは両手で首穴を広げ、あごを引いてくぐります。髪や耳が引っかかるときは、無理に押し込まず一度戻してください。
ノンジップ|首まわりは指の腹で面で広げる
水の浸入が最も少なく動きやすい反面、着脱難易度は最高クラスです。首まわりの生地を大きく広げて着ますが、指を立てて広げると薄い生地が一発で裂けます。必ず指の腹で、面で広げること。開口部の生地は柔らかく作られているので、丁寧に扱えば伸びてくれます。
| タイプ | 着やすさ | 防水性 | 着るときの最重要ポイント |
|---|---|---|---|
| バックジップ | ◎ | △ | 紐は背骨に沿って真上に引く |
| チェストジップ | ○ | ○ | 腕→フラップ→頭の順番を守る |
| ノンジップ | △ | ◎ | 首まわりは指の腹で面で広げる |
着脱が楽になる道具と裏技|スプレーの是非も検証

手順を覚えたうえで道具を足すと、着脱はさらに楽になります。ただし、世間で言われる裏技には生地を傷めるものも混じっています。定番の道具を効果と注意点のセットで検証します。
| 道具 | 効果 | コスト | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ビニール袋 | 手足の通過が劇的に楽 | ほぼ0円 | 薄手は二重にする |
| サーフインナー | 全身の滑り+防寒 | 2,000〜6,000円 | サイズはジャストを選ぶ |
| 専用潤滑スプレー | 袖口・裾口の引っかかり解消 | 1,500円前後 | ジャージ面のみ・少量厳守 |
| お湯(ポリタンク) | 脱ぎの時短と防寒 | 数百円〜 | 40度以下のぬるま湯で |
| ポンチョ・着替えバケツ | 砂の防止・防寒・座って脱げる | 2,000〜8,000円 | 濡れたまま放置しない |
ビニール袋|コスパ最強の摩擦カット術
足や手にビニール袋をかぶせてから通すだけで、摩擦が激減します。かかとや手首の引っかかりがなくなり、通過時間は体感で半分以下です。コンビニ袋で十分ですが、薄いものはすぐ破れるので二重にするのがコツです。脱ぐときも足首に効くので、車に数枚ストックしておきましょう。
インナー|滑りと防寒を同時に解決
ツルツルした素材のサーフインナーを着ると、生地が肌に貼りつかず、着脱全体がスムーズになります。秋冬は防寒も兼ねられて一石二鳥です。起毛インナーはフルスーツシーズンの快適さが別物になります。選び方はウェットスーツインナーはいつから?水温別の目安と選び方・おすすめ10選【2026】で解説しています。
お湯・ポンチョ・バケツ|秋冬の着替えは「段取り」で決まる
秋冬の海上がりは、お湯→ポンチョ→脱ぐ、の順に段取りしておくと冷えません。車に着いたら先にお湯をスーツの中へ入れ、ポンチョをかぶってから脱ぎ始めます。脱いだスーツはバケツに入れ、砂と水を車内に持ち込まないようにします。ポンチョの選び方はお着替えポンチョおすすめ10選【2026】にまとめています。バケツは着替えバケツおすすめ|海での選び方と使い方【2026】を参考にしてください。
シリコンスプレーは生地を傷める?素材別の結論
「するするスプレー」に代表される潤滑スプレーには、生地を傷めるという説があります。結論から言うと、ウェットスーツ専用の水溶性タイプを、ジャージ地の裏地に少量使う分には問題ありません。破損の原因になるのは、工業用シリコンスプレーなど溶剤入りの製品を使ったケースです。溶剤がネオプレーンの接着面を侵し、剥離を早めます。
スキン(ラバー)素材や起毛裏地への使用は、専用品でも避けたほうが無難です。スキン面は変質しやすく、起毛は液剤を吸い込んで保温力が落ちるからです。使うなら「専用品を、ジャージ面に、サッとひと吹き」まで。かけすぎるとボードに付着して滑る原因にもなります。素材ごとの特性はウェットスーツの素材の違い|ジャージ・ラバー・起毛の選び方にまとめています。
ウェットスーツが破れる原因の8割は着脱時にある
波に揉まれても、リーフに軽く擦っても、生地は意外と耐えます。ところが着替えの数分で、簡単に穴が開きます。修理店に持ち込まれる破れの大半は、爪による裂けと着脱時の引っ張りすぎです。
ネオプレーン生地は「面」に強く「点」に弱い
ウェットスーツの素材はネオプレーンと呼ばれる発泡ゴムです。手のひら全体で押したり引いたりする「面」の力には強い一方、爪の先など「点」に力が集まるとあっけなく裂けます。イメージは食パンです。両手でそっと持てば崩れないのに、指先でつまむと穴が開きます。
破れやすいのは膝裏・脇・首まわりの3か所
破れが集中する場所には傾向があります。1位は膝裏からふくらはぎで、足を通すときに一番力がかかる場所です。2位は脇から袖の付け根で、腕を抜くときに引っ張られます。3位は首まわりで、生地が薄く作られているためデリケートです。この3か所を触っているときだけ意識を強めるだけでも、事故率は下がります。
秋冬の衣替えシーズンこそ事故が多い理由
9月から12月は、ロンスプ、シーガル、フルスーツ、セミドライへと着るものが切り替わる季節です。袖も脚も長くなり、生地の面積と厚みが一気に増えます。半年ぶりに出したスーツは生地が少し硬くなっていることもあります。「夏の感覚」のまま勢いよく着て初日に破く。これが秋冬あるあるです。衣替えの最初の1回こそ、手順を丁寧になぞってください。時期ごとの切替は秋のウェットスーツ選び方【2026】10月・11月は何を着る?で整理しています。
やってはいけないNG行動5つ
これだけは避けてほしいNG行動をまとめます。どれも「ついやってしまう」ものですが、スーツの寿命を確実に縮めます。
- 爪を立てて生地をつかむ。破れ原因の王様。生地は常に指の腹と手のひらで、面で扱う
- 砂の上で直接着替える。砂粒は生地と肌の間でヤスリになる。マットかシートを必ず敷く
- 袖口・裾口だけを持って引っ張る。端の縫い目に力が集中して裂ける。持つのは面
- 熱湯をかける。接着剤が剥がれ、生地の劣化が一気に進む。お湯は必ず40度以下に
- 濡れたまま車内に放置する。生地が硬くなり、次回の着にくさと破れやすさに直結する
もし破ってしまっても、慌てなくて大丈夫です。小さな裂けなら、ウェットボンドで自分で補修できます。手順はウェットスーツの修理方法|破れ・剥がれを自分で直す完全ガイドで解説しています。着脱で何度も破れるようなら、生地が寿命を迎えているサインかもしれません。買い替えの判断はウェットスーツの寿命は何年?買い替えサイン7つと判断基準を参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. ウェットスーツを1人で脱げないときの最終手段は?
首元から水かぬるま湯を入れて、裏地と肌の間に水の層を作ってください。これで吸着が消えます。それでも腕が抜けないなら、袖口を反対の手で押さえて肘から抜きます。足首は生地を内側に折り、かかとを先に出します。座って体重を使えば、握力がなくても脱げます。
Q2. ウェットスーツを脱ぐのにどれくらい時間がかかりますか?
慣れた人でバックジップなら1〜2分、チェストジップで2〜3分、ノンジップやセミドライで3〜5分が目安です。初めてだと10分以上かかることもありますが、普通のことです。時間を縮める一番のコツは、脱ぐ前に水を入れることと、裏返しながら脱ぐことの2つです。
Q3. チェストジップ(フロントジップ)で頭が抜けないときは?
先に頭を抜こうとしているのが原因です。順番は、ジップを開ける→両腕を袖から抜く→首穴を両手で広げて頭を抜く、です。首穴は指の腹で面で広げ、あごを引いてくぐります。髪の長い人は、先に髪を首穴の外へ出しておくと引っかかりません。
Q4. ダイビングスーツの脱ぎ方はサーフィン用と違いますか?
基本の手順は同じですが、2つ違いがあります。1つ目は、先に器材・フード・グローブ・ブーツを外してからスーツに取りかかること。2つ目は、スキン裏地が肌に貼りつきやすいので、脱ぐ前に首元から水を入れることです。ボート上では座れる場所を確保してから脱ぎ始めてください。
Q5. セミドライが肩から抜けません。どうすればいいですか?
起毛裏地が乾き始めて肌に貼りついています。脱ぐ前に首元からぬるま湯を入れて、裏地全体を湿らせてください。防水ジップは必ず直線で全開にし、肩の生地を片方ずつ外側へ落とします。寒い日はポンチョの中で脱ぐと、体を冷やさずに作業できます。
Q6. ウェットスーツを着るのにどれくらい時間がかかりますか?
慣れた人ならフルスーツでも3〜5分が目安です。初めてだと15分以上かかることも珍しくありません。時間を縮めるポイントは、下半身に時間の7割を使うことです。腰までを完璧に上げれば、上半身は一気に楽になります。ビニール袋を使えば、初心者でも5分台は狙えます。
Q7. きつくて着られないのはサイズが合っていないのでしょうか?
着るのが大変でも、着てしまえば苦しくないなら正しいサイズです。ウェットスーツは保温のため、肌に密着するジャストサイズが正解だからです。ただし、着た状態で深呼吸ができない、肩が回らない、股や脇に隙間が残る場合はサイズ違いの可能性があります。試着では「着脱のしやすさ」も確認してください。
Q8. 濡れたウェットスーツを翌日また着るコツはありますか?
濡れて冷たいスーツは、乾いたときの数倍着にくくなります。コツは3つです。前夜に風通しの良い場所で水を切っておくこと。着る直前に内側へぬるま湯を通して生地を柔らかくすること。ビニール袋で手足を通すことです。連日入るトリップでは、替えのインナーがあると不快感がかなり減ります。
Q9. ベビーオイルやワセリンを滑り剤に使ってもいいですか?
おすすめしません。油分はネオプレーンの劣化と接着面の剥離を早める可能性があり、裏地に染み込んで臭いの原因にもなります。滑りを良くしたいなら、水溶性のウェットスーツ専用スプレーか、ツルツル素材のインナーを選んでください。肌の擦れ対策なら、水溶性のアンチチェイフィングクリームという選択肢もあります。
まとめ|脱ぐときは「水を入れて、裏返す」だけで変わる
- 脱ぐ順番は肩→肘→腰→膝→足首。引かずに外側へ裏返すのが大原則
- 1人で脱げない原因は吸着・握力低下・ずり下げの3つ。水を入れる、肘のテコ、座る、で解決する
- チェストジップとノンジップは「腕を抜いてから頭」。首穴は指の腹で面で広げる
- セミドライとダイビングスーツは、脱ぐ前にお湯か水を入れるのが前提。ダイビングは器材とブーツを先に外す
- 着る順番は足先→膝→腰→腕→肩。下半身で7割が決まる
- ビニール袋・お湯・ポンチョは積極活用。スプレーは専用品をジャージ面に少量だけ
着脱はサーフィンのたびに必ずやる動作です。一度正しい手順を体に入れてしまえば、この先ずっと効いてきます。浮いた時間と体力はそのまま波に使えます。これからの季節に向けて秋のウェットスーツ選び方【2026】も確認しておきましょう。帰宅後の手入れはウェットスーツの洗い方と保管術にまとめています。ジップ方式や種類ごとの着脱のしやすさはウェットスーツの種類全9種|ジャーフルとは?水温別の選び方【2026】で比較しています。次の週末は、スマートに着替えて誰より早く海に入ってください。


















