沖に出ようとパドリングしても、波に押し戻されてばかりでアウトにたどり着けない。ドルフィンスルー(ダックダイブ)は、多くのサーファーが最初につまずくポイントです。体力だけの問題ではなく、「板選び」「潜る場所」「動作の順番」のどれかが噛み合っていないことがほとんどです。
この記事では、ドルフィンスルーの3つの局面(加速・沈む・浮上)を図解で整理したうえで、できない原因の切り分け方、潜る場所とタイミングの選び方、ロングボード・ソフトボードでの代替テクニックまで解説します。ドルフィンスルーが決まるようになると沖に出るまでの消耗が激減し、同じ時間でも乗れる本数が変わってきますよ。(2026年8月更新:ボード選びの基準、潜る場所の考え方、プッシングスルー/ローリングスルー、FAQを追記しました)
レオナドルフィンスルーって英語なんですか?
仁いや、実はダックダイブって英語だというんだ。
補足しておくと、「ドルフィンスルー」は日本のサーフカルチャーで定着した和製英語です。海外ではダックダイブ(duck dive)と呼ぶのが一般的で、アヒルが頭から水に潜る動きが語源。海外トリップ先で通じないことがあるので、覚えておくと安心です。
まず確認|そのボード、あなたの体重で沈められますか?
コツの前に、身も蓋もない前提から。自分の体重で沈められないボードでは、どんなに技術があってもドルフィンスルーは物理的に不可能です。「何度やっても板が浮いてきて、波に持っていかれる」という人は、技術ではなく道具の問題である可能性を先に疑ってください。
目安になるのは、次の3点です。
- ボリューム(L):体重に対して大きすぎないか。ショート〜ハイブリッドで概ね体重の0.4〜0.5倍前後のリッター数が一つの目安(初心者はこれより大きめでOK。ただし沈めにくくなります)
- ノーズの形状:先端が尖っているほど水に刺さりやすい。ミニシモンズのようにノーズが丸い板は、ボリュームが小さくても沈めづらい
- 厚み:ノーズ側の厚みが抑えられていると、前方から刺す動作が決まりやすい
逆に言えば、ロングボードやボリュームの大きいソフトボードは、そもそもドルフィンスルーをする道具ではありません。その場合の対処法は後半の「ロングボード・ソフトボードの人はどうする?」で解説します。ボード選びそのものから見直したい方は、サーフボードの種類と初心者の選び方も合わせてどうぞ。
仁「自分が下手だから」と思い込んで、沈まない板と5年格闘してる人けっこう多いよ。
全体をまずは理解しよう
仁まずは基本中の基本から

ドルフィンスルーがどのような動きになっているか、図で理解していきましょう。
ドルフィンスルーは、三つのシーンからなっています。
- 加速
- 沈む
- 浮上

ただ、注意をしていただきたいのは、波は動いている、という事になります。
どういうことかというと、
この図のように、波は動いているので、先ほどの3つのシーンで説明したような前に進むという事は、ほぼ起きていません。
更に言ってしまうと、後ろに戻ってしまうという事がほとんどです。
何が言いたいかというと、ドルフィンスルーは、前に進む技術ではなく、その位置をキープする技術だということです。
このことを意識して次に進みましょう。
加速するシーンで大切なこと
レオナやっぱりパドリングが大事になってきます!

その通りです。パドリングがとても大切です。
パドリングが苦手な方は、是非こちらの記事をご覧ください。

パドリングで大事なことは、こちらの記事に書いてあるように水を後ろにかいていく、ということがとても大事になってきます。
ドルフィンスルーをやるシーンにおいて大切なことは、ギリギリまでパドリングをするということになってきます。
初心者に多く見られるのが、だいぶ手前で辞めて沈む準備をしてしまうということ。
パドリングをしていない状態だと、スピードは落ちていきます。
沈める行為をする限界ギリギリまで、パドリングをしていきましょう。
「ギリギリ」の具体的な距離感は、波の壁まで自分の身長1.5〜2本分あたりが一つの基準。ここまで漕いでから潜り始めると、浮上したときに波の裏側に抜けています。手前で止めてしまうと、潜っている最中にスピードがゼロになり、そのまま押し戻されます。そもそも推進力が足りていない自覚がある人は、疲れない・進むパドリングの正しいフォームと練習法から立て直すのが近道です。
サーフボードを沈めるシーンで大事なこと
仁沈めるにはコツがあるよ

サーフボードの形状にもよりますが、基本的にはサーフボードは沈みづらいものになっています。
大事なことは、ノーズの方から刺すように沈めるという事。
どういうことかというと…
なるべく先端を押してあげないとサーフボードが沈みづらくなってしまいます。
テイクオフの位置でサーフボードを沈めようとすると、なかなか沈まないのは右の図のようになるからです。

サーフボードはなるべく沈めてあげると良いので、先端を持ち、体をなるべく水面にあげて重力を使って沈めてあげるようにしましょう。
トッププロになると、デッキパッドに足をついて潜っている選手がいますが、まずは膝をついた状態からやるようにしてあげましょう。
その際には、少しサーフボードが前に進むように意識して足でサーフボードを押し込むと良いです。
真下に蹴ってしまうと、サーフボードの浮力を受け、沈めることができなくなってしまいます。
押し込む順番は「頭 → 腕 → 膝 → 足」
沈める動作でつまずく人の多くは、全部を同時にやろうとしています。実際には時間差をつけたほうが、少ない力で深く潜れます。
- 頭と腕を同時に前下方へ:頭は「先行動作」。アヒルが潜るときと同じで、重心を前にかけるスイッチになります
- やや遅れて膝でデッキを押す:ノーズが十分刺さってから体重を乗せる
- 最後に足でテールを押し込む:真下ではなく、斜め前方へ蹴り出すイメージ
もう一つ、地味に効くのが潜る直前に息を吐くこと。肺に空気を溜め込むと体そのものが浮力体になってしまい、板は沈んでも自分が浮いてしまいます。大きく吸い込んでから止めるのではなく、half breath(半分吸って、潜りながら少し吐く)くらいが沈みやすい。ただし苦しさを我慢するのは危険なので、自分の余裕の範囲で調整してください。
レオナ息を吐くと沈む、って言われて初めて腑に落ちました!
浮上するシーンで大切なこと
レオナ最後の仕上げです!


そうなんですよね。初心者の方にヒアリングすると、ほぼ全ての人が浮きあがり動作を意識できていないとのことでした。
さて、その場合どういったことが起きてしまうのでしょうか。
まず最初は、初心者の方に多い、沈めたことで安心して、ノーズが下がったままの状態だった場合を見てみましょう。
ノーズが下がったままだと、波の力とサーフボードが持つ浮力によって斜め後ろ方向に進んでしまうことがわかります。
もちろんのこと、これでは良いドルフィンスルーとは言えません。
一方、上手い人の動きを見てみましょう。
ノーズが上がった状態で浮上動作を行っています。
ノーズが上がることで、サーフボードの浮上などを上手く利用することができ、斜め上方向に進むことができます。
では、この動きをするときに大事なことは何でしょうか。
それは、腕を引くという動作をすることです。
ノーズを押し込み、足でテールを沈めこませた状態だと、体がサーフボードが離れた状態になっています。
その状態から、押し込んだサーフボードを身体に引き寄せるようにしてあげることで、身体を沈めることができるだけじゃなく、サーフボードのノーズを引き上げることができるのです。
水中では「板と体を平行に」、浮上したら「休まずパドリング」
波の下を通過している間は、ボードと体をできるだけ近づけ、波の進行方向に対して平行に保つことを意識してください。体が板から離れて斜めになっていると、水の抵抗を受けて引き戻されます。
そして浮上した瞬間。ここで一息つきたくなりますが、浮上後の1〜2かきが最も大事です。止まってしまうと次の波にまた押し戻され、いわゆる「ドルフィン地獄」に入ります。浮上→即パドリング→次の波を潜る、のリズムを切らさないこと。セット間の落ち着いた時間に一気に距離を稼ぐのがセオリーです。
意外と語られない「潜る場所」と「タイミング」の選び方
動作が正しくても、波の一番強いところで真正面から潜れば、まず勝てません。技術以前に、どこで潜るかを選ぶのがベテランのやり方です。
インパクトゾーンを避ける
波が巻き込んで水柱が落ちる場所を「インパクトゾーン」と呼びます。ここは波のエネルギーが集中していて、ドルフィンスルーごと洗濯機状態に持っていかれるエリア。岸からピークまで一直線に向かわないのが鉄則です。波の各部位の呼び方があいまいな人は、サーフィンの波の各部位の名称を図解で解説を先に読むと、以下の話がぐっと理解しやすくなります。
「急がば回れ」でチャンネルを使う
多くのポイントには、波が割れにくい深めの筋(チャンネル/流れ)があります。そこを使って遠回りしてから横移動でピークに入ると、潜る回数そのものが減り、体力を大幅に節約できます。海に入る前の数分、沖に出ている人がどのルートを通っているかを観察するだけで、ルートはだいたい分かります。
割れた直後より「割れる前」か「スープになった後」
潜るタイミングは、波が崩れ落ちる瞬間とかち合わせないこと。まだ割れていないうねりの状態か、崩れきってスープになった後のほうが、はるかに軽く抜けられます。目の前で今まさに巻いている壁に突っ込むのは、上級者でも避ける判断です。
仁カレント(流れ)に乗ると本当に楽に出られる。ただし流されすぎには注意な。
なお強いカレントは、初心者が沖に流される事故の原因にもなります。入水前に確認しておきたいポイントはサーフィンの事故を防ぐ!初心者向け安全マニュアルにまとめています。
レールは掴む?掴まない? 2つを使い分ける
ドルフィンスルーの解説では「レール(ボードの側面)を掴む」と教わることも、「掴まないほうがいい」と教わることもあります。結論は波のパワーによって使い分ける、です。
| やり方 | メリット | 向いている状況 |
|---|---|---|
| レールを掴まずデッキを押す | 力が少なくて済み、消耗しにくい。深く刺さりやすい | ヒザ〜腹サイズ/スープ/本数が多く連続で潜る日 |
| レールを掴んでホールド | 板がすっぽ抜けにくく、体との一体感が出る | 胸以上のパワーのある波/インパクトゾーン付近 |
普段の練習は「掴まないで押し込む」で消耗を抑え、パワーのある日だけ掴んでホールドする。この2枚看板を持っておくと、コンディションが変わっても対応できます。なお掴む場合も、沈めてから掴むほうが軽い力で済みます。
ロングボード・ソフトボードの人はどうする?
体重で沈められないボードに乗っている場合、答えはシンプルでドルフィンスルーはしません。代わりに次の2つを使います。
プッシングスルー(プッシュスルー)
波が小さい・スープが弱いときに使う方法です。ボードのレール付近を両手で押さえて上体を起こし、ボードのノーズを少し持ち上げて、体と板の間をスープに通すイメージ。腕を突っ張って自分の体を浮かせ、水を体の下に流すのがコツです。足の位置がテール寄りだとテールが持ち上がって煽られるので、体はやや前寄りに。
ローリングスルー(タートルロール/エスキモーロール)
パワーのある波にはこちら。波が来る直前にボードごと裏返して自分が下、ボードが上の状態になり、レールをしっかり掴んで波をやり過ごします。ポイントは3つ。
- ひっくり返すのは波が当たる直前(早すぎると推進力を失う)
- レールは肩幅より少し広めで、脇を締めて板を体に引き寄せる
- 波が通り過ぎたらすぐに戻して即パドリング
どちらも、ボードが自分の体側に返ってこないようノーズを波に対してまっすぐ向けるのが安全面の大前提。周囲に人がいる状況では、板を離してくぐる「捨て潜り」は絶対にNGです。このあたりは初心者のためのサーフィンマナーとルール入門でも触れています。
「そろそろ沈められる板に乗り換えたい」という段階なら、ソフトボード(スポンジボード)おすすめ8選|失敗しない選び方でボリューム別のラインナップを比較してみてください。
【早見表】ドルフィンスルーがうまくいかない原因と対処法
「できない」の中身を切り分けると、対処法はかなりはっきりします。自分の症状に近いものを探してみてください。
| 症状 | 主な原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| そもそも板が沈まない | ボリューム過多/ノーズが丸い | 板を見直す。当面はローリングスルーで代用 |
| 潜れるが後ろに戻される | 手前でパドリングをやめている | 波の壁まで身長1.5〜2本分まで漕ぎ続ける |
| 浮上時に板が斜め後ろへ走る | ノーズが下がったまま浮上している | 水中で板を体に引き寄せ、ノーズを上げる |
| もみくちゃにされる | インパクトゾーンで潜っている | チャンネルを使って回り込む/割れる前か後に潜る |
| 体だけ浮いてしまう | 息を溜め込みすぎ/膝が伸びている | 潜る直前に少し吐く。膝でデッキを押す |
| 数本で息が上がる | レールを毎回強く掴んでいる/浮上後に休んでいる | 小波は掴まず押す。浮上後すぐ1〜2かき |
| 板がすっぽ抜ける | パワーのある波で掴んでいない | 胸以上の日はレールを掴んでホールド |
陸とプールでできる、ドルフィンスルーの練習
ドルフィンスルーは陸上での再現が難しい動作ですが、動作の順番だけは陸で染み込ませられます。
- 陸置きシャドー:砂の上に板を置き、頭→腕→膝→足の順で押し込む動きを10回。順番が身につくと、海での成功率が変わります
- プッシュアップ+広背筋:沈める動作は腕立て、引き寄せる動作は懸垂系。陸トレの組み立てはサーフィン陸トレ入門が参考になります
- 小波の日に数だけこなす:ヒザ〜モモの日に、あえて何本も潜って動作を反復する。パワーのない波のほうが失敗コストが低く、上達が早いです
よくある質問(FAQ)
Q1. ドルフィンスルーとダックダイブは違うものですか?
同じ動作を指します。「ドルフィンスルー」は日本で定着した和製英語で、英語圏では「duck dive(ダックダイブ)」と呼びます。海外のサーフスクールやトリップ先では duck dive と言わないと通じないことが多いので、覚えておくと便利です。意味としては、ボードと体を海中に沈めて波の下をくぐり抜ける技術のことです。
Q2. ドルフィンスルーができるボードのサイズの目安は?
明確な線引きはありませんが、実務的な基準は「自分の体重で水中に押し込めるかどうか」です。ショートボードやハイブリッドの多くは可能、7フィート台のミッドレングスは条件次第、8フィート超のロングボードやボリュームの大きなソフトボードはほぼ不可能と考えてください。ノーズが尖っているほど刺さりやすく、丸いノーズはボリュームが小さくても沈めにくくなります。
Q3. 何度やっても波に押し戻されます。どこが悪いのでしょうか?
多いのは「潜るのが早すぎる」パターンです。手前でパドリングをやめてしまうと推進力がゼロになり、波のエネルギーをそのまま受けてしまいます。波の壁まで身長1.5〜2本分の距離まで漕ぎ続けてから潜り始めてください。それでも戻される場合は、インパクトゾーンで潜っていないか、潜る「場所」も見直してみましょう。
Q4. 潜るとき、息は吸うべきですか吐くべきですか?
沈みやすさで言えば、潜る直前に少し吐くほうが有利です。肺に空気を溜め込むと体自体が浮力体になり、板は沈んでも自分が浮いてしまうためです。ただし完全に吐き切ると苦しくなり危険なので、半分吸って潜りながら少し吐く程度が現実的。波が大きい日ほど水中にいる時間が延びるので、余裕を持った量にしておきましょう。
Q5. レールは掴んだほうがいいですか?
コンディション次第です。ヒザ〜腹サイズの波やスープなら、掴まずにデッキを押し込むほうが少ない力で潜れて消耗しません。一方、胸以上のパワーのある波やインパクトゾーン付近では、掴んでいないとボードがすっぽ抜けて危険です。「小さい日は掴まない、大きい日は掴む」と使い分けられるようになるのが理想です。
Q6. ロングボードでもドルフィンスルーはできますか?
一般的なロングボードでは現実的ではありません。代わりに、ボードごと裏返して波をやり過ごす「ローリングスルー(タートルロール)」を使います。波が小さいときは、上体を起こして板と体の間にスープを通す「プッシングスルー」でも対応可能です。どちらもレールをしっかり保持し、ノーズを波に対してまっすぐ向けるのが安全面のポイントです。
Q7. ドルフィンスルーはどのくらいで上達しますか?
個人差はありますが、道具が合っていれば数回のセッションで感覚がつかめることも珍しくありません。逆に、沈められないボードのまま続けていると何年やっても成功しません。上達を早めたいなら、ヒザ〜モモサイズの日にあえて何本も潜って反復するのが効果的です。パワーのない波なら失敗しても危険が少なく、動作の修正がしやすくなります。
Q8. 人が近くにいるとき、板を手放して潜ってもいいですか?
絶対に避けてください。手放したボードはリーシュの長さの分だけ流れ、後ろにいる人に当たれば重大な事故になります。混雑したポイントでは、そもそも人の少ないルートから沖に出る、無理なタイミングでは潜らず一度岸に戻るなどの判断も必要です。技術と同じくらい、周囲の状況判断が問われる場面です。
まとめ|ドルフィンスルーは「その場に留まる技術」
最後に、要点を整理しておきます。
- まず自分の体重で沈められるボードかを確認する。ここが合わないと技術では解決しない
- ドルフィンスルーは前進する技術ではなく、位置をキープする技術
- 沈める限界ギリギリまでパドリングを止めない
- 押し込む順番は頭 → 腕 → 膝 → 足。潜る直前に少し息を吐く
- 浮上時は板を引き寄せてノーズを上げる。浮上後は休まず1〜2かき
- インパクトゾーンを避け、チャンネルを使って回り込む
- 沈まないボードならローリングスルー/プッシングスルーで代用する
レオナこれが早くアウトに出れるので、上手くなるとたくさんサーフィンできるようになりますよ!
仁パドリングだけじゃなくこういうテクニックも磨いていこう!

















