ウェットスーツが動きにくい原因4つ|秋のパドルを軽くする手順

ウェットスーツを着てパドリングするサーファー。秋の切り替え直後は腕が重く感じやすい

9月最後の週末、朝6時の海。前の週まではタッパーで軽く入れていたのに、この日は初めて3mmのフルスーツを着ました。着替えに手間取って、入水まで10分。パドルを始めて3本目のうねりを越えたあたりで、もう腕が上がらない。脇がツッパって、肩甲骨が動かない。テイクオフで胸を起こそうとしたら、背中の生地に引っ張られてワンテンポ遅れる。「先週まで普通に乗れてたのに、急に下手になった?」。海から上がった駐車場で、そう首をかしげた経験はありませんか?

安心してください。秋のこの症状は、ほぼ全員に一斉に起きています。原因は「自分の実力」ではなく、ウェットスーツの厚みと水の重さ、そして身体がまだ厚い生地に慣れていないこと。ただし、この「重い」には2種類の問題が混ざっています。「サイズが合っていない」「生地が硬い」「劣化している」という道具側の問題。そして「厚いウェットでフォームが崩れている」という技術側の問題です。

この記事では、ウェットスーツが動きにくい原因を4つの系統に切り分けるチェック表を用意しました。症状から道具側か技術側かを判定し、道具側ならサイズ・素材・寿命の各記事へ、技術側なら今日からできる修正へつなげます。最後に、切り替え直後の1〜2回で身体を慣らす手順も紹介します。読み終わる頃には、「重い」の正体と、次の週末にやることがはっきりしていますよ。

目次

目次

  1. 秋にパドルが重くなるのは当たり前|厚みと水抜けで何が変わるか
  2. 動きにくい原因は4系統|30秒でできる切り分けチェック
  3. サイズが原因のサイン|脇・肩・背中のツッパリを見分ける
  4. 素材と経年が原因のサイン|生地の硬化はこう見抜く
  5. フォームが原因のサイン|厚いウェットで崩れやすい3点
  6. 切り替え直後の1〜2回で慣らす手順|陸上の可動域づくりから
  7. よくある質問
  8. まとめ

秋にパドルが重くなるのは当たり前|厚みと水抜けで何が変わるか

フルスーツで海へ向かうサーファー。秋はタッパーから一気に生地が厚くなる
フルスーツで海へ向かうサーファー。秋はタッパーから一気に生地が厚くなる

タッパーからフルスーツへ|腕まわりの生地は「ゼロから2mm」になる

まず前提を整理しましょう。夏の装備がタッパーやスプリングなら、腕は素肌かごく薄い生地でした。そこから3/2mmのフルスーツに変わると、腕と肩には2mm、胴体には3mmのネオプレンが一気に加わります。たった2mmと思うかもしれませんが、パドルは1本の波に乗るまでに数十回、1セッションで千回近く腕を回す動作です。1回あたりわずかな抵抗でも、積み重なると腕の重さとして確実に効いてきます。

しかも秋の切り替えは「段階的」ではなく「一気」に起きやすいんです。水温が下がる速さに合わせて、タッパー→シーガル→フルスーツと順に移行できれば身体も慣れます。でも実際は「先週まで暑かったのに急に寒くなった」で、いきなりフルスーツを着る人が多い。だから9〜10月に「急にパドルが重い」「肩が疲れる」が一斉に起きるわけです。秋の切り替え時期そのものは秋のウェットスーツ選び方の記事で整理しているので、あわせて読んでみてください。

生地が含む水の重さ|乾いた状態より1〜2kg重くなる

もう一つの見落としがちな要因が「水の重さ」です。ネオプレンは発泡ゴムなので、表面のジャージ生地とスーツの内側に水を含みます。3mmフルスーツは乾いた状態で1kg台ですが、海に入ると内部に水が入り、生地も濡れて、体感では1〜2kg重くなります。これを腕と肩で持ち上げながらパドルするのですから、重いのは当然なんです。

この「水の重さ」は、サイズが合っていないと一気に増えます。脇や背中に隙間があると、そこに水が溜まって出入りを繰り返す。いわゆる「水抜けが悪い」状態です。パドルで腕を回すたびに背中の水がチャプチャプ動く感覚があったら、それは重さの原因が生地ではなく「溜まった水」にあるサインです。この話は次の切り分けチェックで詳しく扱います。

だから「動きにくい=下手になった」ではない

ここまで読んで分かるとおり、秋の動きにくさは物理的な理由がほとんどです。腕まわりの抵抗が増え、持ち上げる重さが増え、身体はまだその負荷に慣れていない。「先週より下手になった」のではなく、「先週と違う条件で同じ動きをしている」だけなんです。

ただし、ここで諦めて「ウェットは動きにくいもの」と片づけてしまうと、本当は直せる原因を見逃します。Wavesの編集部メンバーが周りのサーファーを見てきた経験では、秋の「重い」には具体的な原因が必ず混ざっています。サイズが1つ大きい。生地が3シーズン目で硬くなっている。厚い生地に引っ張られてフォームが崩れている。どれも、見つけさえすれば直せるものです。次の章で、その切り分けをしていきましょう。

装備腕の生地胴の生地濡れた状態の体感重量(目安)動きにくさの体感
タッパー・スプリングなし〜2mm(半袖)2mmほぼ気にならない★☆☆☆☆
シーガル(長袖・半ズボン)2mm3mm+0.5〜1kg★★☆☆☆
3/2mmフルスーツ2mm3mm+1〜2kg★★★☆☆
3mmジャーフル(起毛あり)3mm3mm+1.5〜2.5kg★★★★☆
セミドライ(5/3mm前後)3mm5mm+2〜3kg★★★★★
装備別の生地厚と体感重量の目安。秋はこの表を一気に2〜3段飛ばすから重く感じる

動きにくい原因は4系統|30秒でできる切り分けチェック

ウェットスーツのフィット感。脇・肩・背中のツッパリはサイズが原因のサイン
ウェットスーツのフィット感。脇・肩・背中のツッパリはサイズが原因のサイン

「道具側」と「技術側」に分けて考える

ウェットスーツが動きにくい原因は、大きく4つの系統に分かれます。①サイズが合っていない、②素材が硬い、③経年で劣化している、④厚いウェットでフォームが崩れている。①〜③は道具側の問題で、④は技術側の問題です。この区別が大事な理由は、対処がまったく違うからです。

道具側の問題なのに「もっと筋トレしよう」「慣れるまで我慢しよう」と頑張っても、根本は解決しません。逆に、技術側の問題なのに新しいウェットを買っても、同じ動きにくさが続きます。だから最初にやるべきは、症状から原因の系統を見分けること。難しく聞こえますが、実は着た状態で30秒あればだいたい判別できます。

30秒チェック|着た状態で4つの動きをしてみる

ウェットを着て、次の4つの動きをしてみてください。まず両腕を頭の上に真っ直ぐ伸ばす。次に腕を大きく後ろから前へ回す。三つ目は、立ったまま前屈して胸を張るように背中を反らす。最後に片膝を胸に引き寄せる。この4つで「どこがツッパるか」「どこがゴワつくか」「どこも問題ないか」を観察します。

腕を上げたとき脇がツッパり、背中が引っ張られるならサイズの疑いが濃い。腕を回したときに肩まわりがゴワゴワして戻りが遅いなら、素材の硬さか経年劣化。全体に硬さはないのに海に入ると重い、というなら技術側、つまりフォームの崩れです。次の表で、症状から系統と出口を引けるようにしました。

症状(着た状態・海の中)疑う系統まず確認すること出口(対処の方向)
腕を上げると脇がツッパる、股下が引っ張られる①サイズ(小さい)着丈と股下の余り。しゃがんで背中が突っ張るかワンサイズ上、またはトールサイズを検討
背中や脇に水が溜まってチャプチャプする①サイズ(大きい)首・手首・腰まわりの隙間ワンサイズ下、またはオーダーを検討
腕を回すとゴワつき、生地の戻りが遅い②素材ジャージかラバーか。腕だけ薄い設計か可動部が薄い・伸びる素材のモデルへ
去年より明らかに硬い、白い粉が出る、伸びが戻らない③劣化購入年、シーズン数、保管状態買い替え、または今季限りと割り切る
陸で着ても違和感はないのに海で肩だけ疲れる④フォーム肘の高さ、胸の反り、目線この記事のフォーム3点を修正
最初の30分は重いが、その後は普通に動ける④慣れ切り替え初日か2回目か慣らし手順を1〜2回やれば解消
症状→系統→確認→出口の切り分け表。複数当てはまる場合は上から順に確認する

チェックの順番は「サイズ→素材・劣化→フォーム」

複数の症状が当てはまる場合は、必ずサイズから確認してください。理由は単純で、サイズが合っていないと素材の良し悪しもフォームの正しさも判断できないからです。脇がツッパっている状態では、どんなに伸びる素材でも動きにくいし、どんなに正しいフォームでも肩は疲れます。

サイズに問題がなければ、次は素材と劣化。ここは「今のウェットが何年目か」でほぼ決まります。そして最後にフォーム。ここまで来て初めて「道具は問題ない、身体の使い方を変えよう」と言えるわけです。この順番を守るだけで、無駄な買い物と無駄な我慢の両方を避けられますよ。

サイズが原因のサイン|脇・肩・背中のツッパリを見分ける

小さすぎるサイン|脇・股下・背中の3か所が同時にツッパる

ウェットスーツが小さいときの典型的な症状は、腕を上げると脇の下が引っ張られ、同時に股下が持ち上がる感覚です。これは着丈(身長方向の長さ)が足りていない状態で、生地が上下に引っ張り合っているんです。この状態でパドルをすると、腕を前に伸ばすたびに脇から背中にかけての生地が抵抗になり、肩甲骨が動きません。結果として、肩の外側の筋肉だけで腕を回すことになり、30分もすると肩が張ってきます。

見分け方は簡単で、陸でしゃがんで両腕を前に伸ばしてみてください。背中の生地がピンと張って、首の後ろが引っ張られるなら着丈不足。特に身長が高めで細身の人に多く、既製品のサイズ表で「胸囲は合うけど身長がギリギリ」というケースがほとんどです。

大きすぎるサイン|水が溜まる・生地が余ってシワになる

逆に大きすぎる場合は、ツッパリではなく「重さ」として現れます。首まわりや手首、腰の部分に隙間があると、パドルのたびに水が入り、背中や脇に溜まります。この溜まった水は1回あたり数百グラムでも、腕を回すたびに一緒に動くので、体感では相当な重さになります。「肩は疲れないけど、なんだか全体に重くて反応が遅い」という人は、大きすぎる可能性が高いです。

陸でのチェックは、腕を下ろした状態で脇の下と腰まわりに生地の余りやシワが出ていないかを見ること。そして腕を上げたときに、手首の生地がずり落ちて手のひらにかからないか。この2つが出ていたら、ワンサイズ下げるか、オーダーを検討する段階です。

既製品で合わない人の選択肢|トールサイズとオーダー

「胸囲に合わせると着丈が足りず、着丈に合わせると胸がガバガバ」。この悩みは、既製品ユーザーにとても多いんです。日本のブランドはMT・LTといったトールサイズを用意していることが多く、身長175cm以上で細身の人はまずここを試してみてください。それでも合わなければ、オーダーが結果的に安上がりになることもあります。

既製品のサイズの測り方と選び方はウェットスーツのサイズの選び方の記事で詳しく解説しています。レディースの場合は体型の違いで合わせる箇所が変わるので、レディースのサイズの測り方の記事も参考にしてください。オーダーの価格や納期の目安はオーダー完全ガイドにまとめました。

確認する場所小さいときのサイン大きいときのサイン許容できる目安
脇の下腕を上げると強く引っ張られる生地が余ってたるむ軽く張る程度なら問題なし
股下・着丈しゃがむと股と首が同時に引かれる股下に生地が余り膝が動きにくい立って生地が突っ張らない
背中前屈で首後ろが引っ張られるパドル時に水が溜まって動く前屈で軽く張る程度
首まわり締め付けて息苦しい指が2本以上入る指1本が入る程度
手首・足首締まりすぎてしびれる水が出入りしてめくれる軽く密着して水が入らない
部位別のサイズ判定表。陸で着た状態でこの5か所を順に確認する

素材と経年が原因のサイン|生地の硬化はこう見抜く

海に浸かるウェットスーツの生地。素材の硬さと経年劣化も可動域を奪う
海に浸かるウェットスーツの生地。素材の硬さと経年劣化も可動域を奪う

素材の違いで可動域は変わる|ジャージ・ラバー・起毛

サイズが合っているのにゴワつくなら、次は素材です。ウェットスーツの生地には大きく、両面にナイロン生地を貼ったジャージ、表面がゴムむき出しのラバー(スキン)、内側に毛足のある起毛の3タイプがあります。伸びやすさで言えば、一般にジャージが最も柔らかく、ラバーはやや硬めで、起毛は内側に生地が増える分だけ動きが重くなります。

ここで大切なのは、良いブランドほど「部位によって素材を変えている」ことです。胴体は保温のためにラバーや起毛にし、腕と脇は動きやすさのためにジャージや薄い伸縮素材にする。この設計になっているウェットは、同じ3mmでも腕の重さがまったく違います。逆に、全身が同じ厚さの同じ素材で作られたエントリーモデルは、保温はしっかりしていても腕の抵抗が大きくなりがちです。素材ごとの特徴はウェットスーツの素材の違いの記事で比較しています。

経年劣化のサイン|白い粉・伸びの戻り・折りジワ

素材そのものに問題がなくても、経年で生地は確実に硬くなります。ネオプレンは紫外線と塩分、そして乾燥の繰り返しで気泡構造が潰れ、弾力を失っていきます。目安として、週1〜2回使う人なら3シーズン目あたりから、腕を回したときの「戻り」が明らかに遅くなります。新品のときはパッと元に戻った生地が、じわっと戻る。この差がパドル1回あたりの抵抗になるんです。

見分け方は3つ。まず、表面をこすったときに白い粉が出ないか。これはゴムの劣化が進んだサインです。次に、腕の生地を引っ張って手を離したとき、すぐに戻るか。最後に、脇や肘に折りジワが固定されていないか。この3つのうち2つ以上当てはまるなら、動きにくさの主因は劣化です。判断基準の詳細はウェットスーツの寿命と買い替えサインの記事にまとめています。

硬くなった生地を「少し」戻す方法と限界

劣化が軽度なら、ウェットスーツ用のシャンプーと柔軟剤で生地の柔らかさを多少取り戻せます。塩分が生地に残ったまま乾くと繊維がバリバリになるので、毎回真水でしっかり洗い、陰干しするだけでも硬化の進行は遅くなります。洗い方と保管のコツはウェットスーツの洗い方と保管術の記事を参考にしてください。

ただし、これはあくまで「進行を遅らせる」「軽度なら少し戻す」手段です。3シーズン以上使って白い粉が出る段階まで来ていたら、柔軟剤では元に戻りません。そのときは、今季限りと割り切って使うか、腕と脇だけ柔らかい素材のモデルに買い替えるか、どちらかを選ぶ段階です。無理に使い続けると、動きにくさで肩を痛めるリスクのほうが高くなります。

チェック項目新品〜1年目2〜3年目3年目以降(劣化)
腕の生地を引っ張って離すすぐ戻るやや遅れて戻るじわっと戻る・戻らない
表面をこする変化なしわずかにくすむ白い粉が出る
脇・肘の折りジワないうっすら固定されて消えない
着脱のしやすさ滑らかに入る少し引っかかる引っ張らないと入らない
パドルの体感軽い気にならない肩が重い・戻りが遅い
経年劣化のチェック表。右の列に2つ以上当てはまれば主因は劣化

フォームが原因のサイン|厚いウェットで崩れやすい3点

厚いウェットで崩れやすいパドルフォーム。胸の反りと肘の高さを見直す
厚いウェットで崩れやすいパドルフォーム。胸の反りと肘の高さを見直す

サイズも素材も問題ない。それでも海に入ると肩だけ疲れる。この場合は技術側、つまりフォームの崩れです。厚いウェットを着ると、無意識のうちにフォームが3か所で崩れます。胸の反り、肘の高さ、そして目線です。それぞれ、なぜ崩れるのか、どう直すのかを見ていきましょう。

崩れ1|胸が反れなくなり、頭が下がる

パドルの基本姿勢は、胸を軽く反らせて頭を上げ、ボードの中央に体重を乗せることです。ところが厚い生地を着ると、背中と胸の生地が反りに抵抗します。すると無意識に胸が落ち、頭が下がり、ボードのノーズが沈む。ノーズが沈むと水の抵抗が増えて進まなくなり、進まないからさらに腕で頑張る、という悪循環に入ります。

修正のポイントは「反ろう」とするのではなく、「みぞおちをボードに乗せる」意識に変えること。背筋で反らせるのではなく、みぞおちを支点に胸を乗せると、生地の抵抗が少ない範囲で頭が上がります。この感覚はパドリングの正しいフォームの記事で図解しています。反りすぎて腰を痛めるパターンは反り腰パドルの直し方の記事も参考にしてください。

崩れ2|肘が下がり、腕だけで水をかく

二つ目は肘の位置です。正しいパドルは、肘を高く保ってリカバリー(腕を前に戻す動き)を行い、水中では肘を曲げて前腕で水をキャッチします。ところが腕まわりの生地が重くなると、肘を高く上げるのが億劫になり、腕を横から低く回すようになります。この「低い腕回し」は、肩の関節に負担が集中する動きです。

肘が下がると、水をかく力も落ちます。前腕ではなく手のひらだけで水を押すことになり、1かきあたりの推進力が減る。減った分を回数で補おうとして、さらに肩が疲れる。「秋になって急に肩が疲れる」人のかなりの割合が、この肘の下がりが原因です。修正は、リカバリーで「肘から先に前へ出す」意識を持つこと。肘を高く、手は力を抜いて、肘が通った道を追いかけるように前へ出します。

崩れ3|目線が落ちて、身体が丸まる

三つ目は目線です。胸が落ちると自然に目線も下がり、ボードのノーズか水面を見るようになります。すると首が下がり、背中が丸まり、肩甲骨がロックされます。肩甲骨が動かないと、腕の可動域は肩関節だけに頼ることになり、これも肩の疲れに直結します。

修正は、目線を10〜15m先の水面に置くこと。目線が上がれば首が上がり、首が上がれば胸が起き、胸が起きれば肩甲骨が動く。この連鎖は、厚いウェットを着ているときほど効きます。パドルで30分で疲れてしまう根本原因はパドリングのコツの記事で3つに整理しているので、フォーム全体を見直したい人はそちらも読んでみてください。肩に痛みまで出ている場合は肩が痛い原因と治し方の記事で負担を減らす方法を紹介しています。

崩れる箇所厚いウェットで起きること海での症状修正の合言葉
胸の反り生地の抵抗で胸が落ち、頭が下がるノーズが沈んで進まない「みぞおちをボードに乗せる」
肘の高さ腕が重くて肘が下がり、横から回す肩の外側だけが疲れる「肘から先に前へ出す」
目線胸が落ちて目線も落ちる背中が丸まり肩甲骨が動かない「10〜15m先の水面を見る」
厚いウェットで崩れやすいフォーム3点。上から順に直すと下も自然に整う

切り替え直後の1〜2回で慣らす手順|陸上の可動域づくりから

入水前に肩甲帯を動かしておくと、切り替え直後の重さがかなり減る
入水前に肩甲帯を動かしておくと、切り替え直後の重さがかなり減る

道具の問題を除外し、フォームの修正点も分かった。あとは身体を厚いウェットに慣らすだけです。ここでは、切り替え初日と2回目で「重い」を最小限にするための手順を紹介します。ポイントは、入水前の5分と、海に入ってからの最初の20分の使い方です。

手順1|着る前に、肩甲骨まわりを3分動かす

ウェットを着る前に、肩甲骨まわりを動かしておきましょう。具体的には、両腕を大きく前後に回す動きを各10回、肘を曲げて肩甲骨を寄せる・開く動きを10回、腕を頭上に伸ばして左右に側屈を各5回。これだけで肩甲骨の可動域が広がり、厚い生地の抵抗を受けても腕が回りやすくなります。

特に秋は朝の気温が下がり、身体が固まった状態で海に来ることが多い。冷えた身体でいきなり厚いウェットを着ると、生地の抵抗と身体の硬さがダブルで効いてきます。入水前のルーティンは入水前5分のストレッチ10選の記事で全身分を紹介しているので、肩甲骨まわりを重点的に取り入れてみてください。

手順2|着てから、生地を身体に「なじませる」

ウェットを着たら、すぐに海へ向かわず、その場で30秒だけ身体を動かします。しゃがんで立つを3回、腕を頭上に伸ばして左右にひねるを3回、そして腕を大きく回すを5回。この動きで、生地が身体の形に沿って落ち着き、脇や股下のツッパリが少し緩みます。着方そのものでツッパリが変わることも多いので、ウェットスーツの着方・脱ぎ方の記事で「生地を引き上げる順番」を確認しておくと効果的です。

ここで一つコツがあります。腕を通したあと、脇の下の生地を指でつまんで上に引き上げてください。脇に生地の余裕ができると、腕を上げたときのツッパリが目に見えて減ります。この一手間をするかしないかで、最初の10分のパドルの重さが変わりますよ。

手順3|最初の20分は「本気のパドル」をしない

海に入ったら、最初の20分はゲッティングアウトで頑張らないこと。切り替え初日は、いつもより2割くらい力を落として、フォームの確認をしながらゆっくり沖へ出ます。肘の高さ、みぞおちの乗せ方、目線。この3点を確認しながらパドルすると、身体が「厚い生地の中での動き方」を自然に覚えていきます。

そして、波待ちの時間に腕を回して肩を緩めてください。厚いウェットの中で肩が固まると、次のパドルがさらに重くなります。「疲れたら休む」ではなく、「固まる前に動かす」が正解です。切り替え初日にこの20分を使えるかどうかで、2回目の重さが大きく変わります。

手順4|2回目は「重さ」を数値で比べる

2回目のセッションでは、1回目と同じ動きをして、重さの体感を比べてみてください。「1回目は最初の30分で腕が上がらなかったが、2回目は45分持った」というように、時間で比べると分かりやすいです。この段階で明らかに軽くなっていれば、原因は単なる慣れで、あとは回数を重ねるだけ。

逆に2回目も同じように重く、特定の部位のツッパリやゴワつきが続くなら、道具側の問題が残っています。もう一度、切り分け表に戻って、サイズと劣化を確認してください。ウェットの下に薄いラッシュガードを着ると、生地の滑りが良くなって着脱も動きも楽になることがあるので、秋のラッシュガード活用術の記事も試す価値があります。

タイミングやること時間狙い
着る前肩回し・肩甲骨の寄せ開き・側屈3分肩甲骨の可動域を広げる
着た直後しゃがみ立ち・ひねり・腕回し、脇の生地を引き上げる30秒生地を身体になじませる
入水〜20分2割力を落とし、フォーム3点を確認しながらパドル20分厚い生地の中での動き方を覚える
波待ち中腕を回して肩を緩める随時固まる前に動かす
2回目1回目と持続時間を比較するセッション全体慣れか道具かを最終判定
切り替え直後の慣らし手順。1〜2回で「重い」の大半は消える

よくある質問

「ウェットスーツ 動きにくい」「ウェット パドル 疲れる」で検索する人が、あわせて気にしている疑問をまとめました。

ウェットスーツが動きにくいのは慣れれば解消しますか?

サイズと素材に問題がなければ、多くの人は2〜3回のセッションで気にならなくなります。目安として、1回目に30分で腕が上がらなかった人が、2回目で45分、3回目で1時間持つようになれば、単なる慣れです。逆に3回目でも同じ部位のツッパリやゴワつきが続くなら、道具側の問題が残っています。この記事の切り分け表に戻って、サイズと劣化を確認してください。

フルスーツを着るとパドルで肩が疲れます。筋力不足ですか?

筋力不足と決めつける前に、フォームを疑ってください。厚いウェットを着ると、肘が下がって腕を横から低く回すようになり、肩の外側だけに負担が集中します。「肘から先に前へ出す」意識でリカバリーの肘を高く保つだけで、肩の疲れはかなり減ります。それでも改善しなければ、脇のツッパリでサイズが小さい可能性も。筋トレはそのあとで十分間に合います。

ウェットスーツはきつめとゆるめ、どちらが動きやすいですか?

「陸で少しきつく感じるが、動かせばツッパらない」が正解です。ゆるいと脇や背中に水が溜まり、その重さでパドルが重くなります。きつすぎると脇と股下が引っ張られ、肩甲骨が動きません。判定は着た状態で両腕を頭上に伸ばし、脇が強く引かれず、背中に生地の余りが出ないこと。既製品でどちらにも寄ってしまう人は、トールサイズやオーダーを検討してください。

古いウェットスーツが硬くなりました。柔らかくする方法はありますか?

軽度なら、ウェットスーツ用シャンプーと柔軟剤で多少戻ります。毎回真水で塩を落として陰干しするだけでも、硬化の進行は遅くなります。ただし、表面をこすって白い粉が出る、腕の生地を引っ張っても戻らない、という段階は柔軟剤では戻りません。3シーズン以上使ってこの状態なら、今季限りと割り切るか、腕と脇だけ柔らかい素材のモデルに買い替えるのが現実的です。

秋の切り替えでシーガルを挟むと、動きにくさは減りますか?

減ります。タッパーから一気にフルスーツへ行くと、腕の生地がゼロから2mmに変わるので身体が驚きます。間にシーガル(長袖・半ズボン)を挟むと、腕は2mmのまま脚が軽いので、上半身だけ先に慣らせます。9月後半〜10月前半の水温ならシーガルで入れる日も多いので、切り替えを段階的にするのがいちばん楽な方法です。

ウェットスーツの下にインナーを着ると動きにくくなりますか?

薄いラッシュガードなら、むしろ動きやすくなることが多いです。肌と生地の間に滑りが生まれ、腕を回したときの引っかかりが減るからです。着脱も楽になります。ただし、厚手の起毛インナーを重ねると、その分だけ腕まわりの抵抗が増えて動きは重くなります。秋の時点では薄手の長袖ラッシュガード1枚が、保温と動きやすさのバランスとしてちょうどいい選択です。

まとめ|「重い」の正体が分かれば、秋のパドルは軽くなる

秋にウェットスーツが動きにくくなるのは、生地の厚みと水の重さが一気に増えるからで、誰にでも起きる現象です。ただしその中には、直せる原因が必ず混ざっています。この記事の要点を整理します。

  1. 秋の「重い」は、腕の生地がゼロから2mmになり、濡れて1〜2kg増えることで起きる物理現象
  2. 原因は①サイズ ②素材 ③劣化 ④フォームの4系統。まず道具側か技術側かを切り分ける
  3. チェックの順番は「サイズ→素材・劣化→フォーム」。脇・股下・背中のツッパリはサイズ、白い粉と戻りの遅さは劣化
  4. フォームは「みぞおちを乗せる」「肘から先に出す」「10〜15m先を見る」の3点で直す
  5. 切り替え直後は、着る前3分の肩甲骨ほぐし+最初の20分は2割力を落として慣らす
  6. 2回目で明らかに軽くなれば慣れ。同じ部位が重いままなら道具側を疑って再チェック

道具側に原因がありそうな人は、サイズの選び方素材の違い寿命と買い替えサインの3記事を順に読むと、次に何をすべきかがはっきりします。技術側だと分かった人は、パドリングのコツでフォーム全体を見直してみてください。

秋は水温がまだ温かく、うねりも入りやすい、1年で最も気持ちよくサーフィンできる季節です。「ウェットが重いから」と海に行く回数を減らしてしまうのは、本当にもったいない。次の週末は、入水前の3分と最初の20分を意識して、厚い生地の中でも軽く動ける身体を作っていきましょう。海から上がった瞬間の「今日は腕が残ってる」という感覚を、ぜひ味わってください。

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この記事を書いた人

サーフィンにハマって海の近くに移住しちゃった女の子。効率良く楽しくサーフィンするために情報集めるサーフィンマニア。

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